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税務の勘所Vital Point of Tax

どうなる認定支援機関制度  認定取消しや更新制の導入も

2017/09/27

 中小企業をめぐる経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業をサポートする担い手の多様化・活性化を図るため、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(現:中小企業等経営強化法)の一部改正により、中小企業に対して専門性の高い支援事業を展開する「経営革新等支援機関」を認定する制度が創設。平成24年8月30日に施行された。

 認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)として認定されるのは、税務、金融、企業の財務に関する専門的知識や、経営革新計画の策定等の業務について一定の経験年数を持っている個人や法人など。

 いわば、国から「中小企業の支援機関」としてお墨付きをもらい、経営革新等支援業務や経営課題全般に対する支援が行えるほか、認定支援機関の関与を要件とする支援施策や補助金などもあり、制度創設当初から税理士業界でも認定申請する動きが相次いだ。実際、平成29年3月末時点における認定支援機関は2万6045件にのぼるが、このうち税理士は1万7722件、税理士法人が2203件の認定を受けており、全体の約4分の3を占めている。

 ただ、多くの認定支援機関が誕生したものの、一部の認定支援機関では、中小企業の経営支援を行っていないという現実も浮かび上がった。認定支援機関への平成28年度任意調査によると、直近1年間において約3割の認定支援機関が法定業務である経営革新等支援業務を「ほとんど行っていない」と回答。また、経営課題全般に対する支援についても、「ほとんど行ってきていない」(11%)、「過去3年で1~2回程度」(9%)という回答が全体の2割を占めた。

 何より、任意調査は「中小企業等の経営強化に関する基本方針」に基づき、認定支援機関による支援状況やその成果を把握するために行われているが、調査対象数2万3999機関のうち回答があったのは7430機関。回答率は3割にとどまり、全体の7割については活動状況がほとんど把握できていないのが実情だ。

 こうした事態を改善するため、中小企業政策審議会・中小企業経営支援分科会がさきごろまとめた中間整理では、認定支援機関の見直しに向けた内容が示されている。例えば、認定支援機関が、任意調査などで複数年連続して確認できなかった場合は、法律に基づく報告徴収を求め、直近数年間の活動実績を確認する取組みが盛り込まれた。また、経営革新等支援業務の運営に関して改善が必要だと認められた場合、法律に基づく改善命令を発し、従わなかった場合は認定の取消しも検討する。さらに、これらの事項を定期的に確認するため、認定を更新する制度(更新制)にするなど、充分な経営支援能力を有しているかどうかを確認する仕組みも整えていく。

 なお、中間整理では、中小企業支援を真に実施する認定支援機関を明確化するため、今後5年程度を目途にこれらの取組みを実現していくことが示されている。

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