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税務バトルから学ぶ 審判所の視点 ザ・ジャッジ

墓地なのに登録免許税を納付? 納税者の還付通知請求を認めなかった理由

2016/09/13

 本件土地は、遅くとも平成15年頃以降は墓地であり、また、地方税法第348条(固定資産税の非課税の範囲)第2項第4号に規定する墓地として固定資産課税台帳に登録されておらず、固定資産税も課されていなかった。

 平成15年10月、請求人らの母親Aの代理人であったB司法書士は、本件土地について、昭和55年10月〇日相続を原因とする亡C持分全部移転の登記を受けるため、D法務局の出張所に対し、「登録免許税」欄に「登録免許税法第5条第10号」(以下、同法第5条第10号)と記載した登記申請書を提出。その際、固定資産証明書を添付し、そこには本件土地が固定資産課税台帳に登録されていない旨が記載され、「備考」欄には「地方税法第34条第2項第4号に規定する墓地のための非課税」と記載されていた。そして、補正指導を受けることなく、持分全部移転登記が完了した。

 月日が流れて平成26年4月、B司法書士は請求人らの代理人となり、D法務局に対し、本件土地について、平成25年12月○日相続を原因とする亡くなった母親A持分全部移転の登記を受けるため、「登録免許税」は「金0円登録免許税法第5条第10号による」とする登記申請を行った。

 しかし、登記窓口担当者から、土地の登記記録の地目が畑であり、登記申請は同法第5条第10号に該当しない旨の補正指導を受けたため、D法務局に対し、土地の不動産価格を○○○○円、登記申請に係る課税価格を○○○○円、登録免許税額を○○○○円とする登記補正を行い、登録免許税の額○○○○円を納付して持分全部移転登記が完了した。

 請求人らは、「墳墓地に関する登記」として非課税登記に該当し、登録免許税を納付したことは誤りだとして、還付通知をすべき旨の請求をしたところ、原処分庁が、還付通知をすべき理由がない旨の通知処分を行ったために争いが起きた。

登録免除税は流通税の性格 相続税等の財産税と異なる

 請求人らは、「『墳墓地に関する登記』に該当するか否かは、土地の現況によって判断されるべき。同法第5条第10号は、墳墓地に関する登記と規定し、『登記簿(登記記録)上の地目が墳墓地である土地』とは規定してない」と主張。また、「相続税法第12条第1項第2号は墓所を非課税財産、地方税法348条第2項第4号は墓地を非課税と規定しており、該当するか否かは現況に従って判断されている。同法第5条第10号についても同様に現況に従って判断されるべき」、「過去に同法第5条第10号該当性を土地の現況により非課税と判断した先例があるから、本件登記も同様に判断されるべき」とした。

 一方の原処分庁は、「同法第5条第10号は、墳墓地に関する登記と規定し、『現況が墳墓地と認められる土地』に関する登記とは規定していない。『墳墓地に関する登記』に該当するか否かは、土地の登記記録の地目に従い判断されるべき」と主張した。

 これに対して審判所は、「同法第5条第10号の規定の適用は、登記記録の地目が墓地と記録されている土地に限られる。これは、登録免許税が、納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が自動的に確定する国税で、相続税等の財産税とは異なり流通税としての性格を有し、このような性格を持つ登録免許税において、登記官は不動産登記の際、登記記録や登記申請に基づき不動産の地目を形式的に判断する必要があるためである。したがって、現況地目が墓地であっても、登記記録の地目が墓地でなければ、同法第5条第10号の適用はない」と判断。

 また、「登録免許税は、相続税および固定資産税とは課税の趣旨を異にするもの。相続税や固定資産税において不動産の現況に基づいて非課税該当性が判断されているからといって、同法第5条第10号の判断を同様にすべきものでもない」、「過去に非課税と判断した処理は誤った扱いで、過去に請求人らの主張内容に沿った処理が存在するからといって、請求人らの主張の正当性が裏付けられるものでもない」として請求人らの主張を棄却した。

 

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