日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

初めての人でも分かりやすい 経営者の心をつかむ 補助金サポート

クライアントからの補助金相談 その時、どう対応する!?<その2>
~補助金支援業務とは、どのようなことをやるのか?~

2016/08/29

 現在、国や地方自治体等では様々な種類の補助金等が取り扱われています。クライアントから相談を受けた補助金についてすべて対応することは効率がいいとは限りません。補助金等の種類によって、会計事務所にとっての向き・不向きがあるのです。

 例えば、補助金等の中でも一般的に「助成金」と呼ばれ、厚生労働省が行っている雇用関係のもの(例えば、キャリアアップ助成金等)は、社会保険労務士が携わることが多いかと思います。一方、中小企業向けの事業経費の一部が補助されるもの(例えば、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、創業補助金等)は、その多くが事業計画を含む申請書の作成が必要となり、申請支援の担い手としては、日頃から会社の経営状況を見聞きし、また、専門的見地から助言が出来る会計事務所が適しているということができます。
⇒ ポイント① 
会計事務所が支援するのに適した補助金は、申請書に「事業計画」が含まれるもの

************************
 では、中小企業向け補助金を前提として、補助金制度を利用する場合の一連の流れを解説します。

 補助金には様々な種類があり、それぞれ応募要件や期間、補助金額等は異なりますが、すべてに共通する申請から決定までの基本事項は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に定められています。

 申請者は、まず実施する事業に適した補助金の情報を収集し、申請書を作成して申請の手続きをします。審査の結果、採択された場合には、交付申請手続、補助事業の実施、完了報告手続へと進み、その後で補助金を受領します。また、補助金の受領後5年間は収益状況報告の手続等があります。不採択の場合には、申請手続以降に特に追加の手続きはありません。採択率は補助金の種類によっても異なりますが、例えば平成28年に募集・採択が行われたものづくり補助金(1次)の採択率は32%でした。
 ⇒ ポイント② 
補助金の申請から受領までの流れ

 STEP1 情報収集
 STEP2 申請書作成及び申請
  ↓(採択の場合)
 STEP3 交付申請手続
 STEP4 補助事業の実施
 STEP5 完了報告手続
 STEP6 補助金の受領
 STEP7 収益状況報告(5年間)

************************
 会計事務所の補助金支援業務は、最も広範な場合で上述のSTEP1からSTEP7までの各段階における書類作成等の支援になります。しかし、実際にはSTEP2申請書作成のみのご依頼が最も多いのではないかと思います。

 その理由は、補助金の手続きの中で最も難しいのがSTEP2申請書作成だからです。原則として申請書の記載内容のみで採択・不採択が決まります。従って、複雑な申請書を一点の不備もなく作成しなければなりませんし、また、申請書作成に先立って具体的かつ実現可能性の高い事業計画を策定し、それを審査員が一読した時にしっかりと伝わる書類(=優秀なプレゼン書類)に仕上げなければなりません

 クライアントの中には、事業計画の策定に対して苦手意識をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。あるいは、例えば売上計画はスラスラと作成できる方でも、全体の資金計画や市場分析、顧客ニーズの分析等、バランスの取れた事業計画には達しないというケースも少なくないものと思います。クライアントが独力で採択レベルの事業計画を策定し申請書を作成することは大変難しいことです。

 ここで会計事務所の出番となるわけです。会計事務所は、日頃の業務の中で会社の経営状況について見聞きしており、また、多くの経営事例を見て客観的なアドバイスができる存在ですので、事業計画の策定に当たってクライアントの一助となることができます。

 クライアントと事業計画について膝を突き合わせて議論を行う。専門的見地から助言を行う。これらは実は補助金申請の有無に関わらず、日ごろからクライアントが顧問税理士に期待していることなのではないでしょうか。会計事務所としては、補助金支援業務を特殊な業務と捉えるのではなく、通常の経営相談の延長と捉えていただくことが出来ると思います。
⇒ ポイント③ 
補助金支援業務の中身は、「“事業計画の策定”支援+“プレゼン書類の作成”支援」であり、通常の経営相談の延長であると捉えることができる。

 

PAGE TOP