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教えて熊王先生 消費税の落とし穴はココだ!税理士 熊王征秀

年末まで相続財産が未分割 納税義務の判定にご注意

2017/01/17

Q.不動産賃貸業を営む被相続人について、8 月10日に相続が発生しましたが、年内に遺産分割協議がまとまらなかったため、1 月1日~ 8 月10 日期間分の被相続人の準確定申告書及び8 月11 日~ 12 月31 日期間分の相続人の確定申告書について、いずれも相続人が連盟で提出し、納税することとしました。
 被相続人の基準期間中の課税売上高は1800 万円(税抜)、相続人は妻(無職)と子供2人(給与所得者)の計3 人です。8 月11 日以降の相続人の納税義務はどのように判定したらよいのでしょうか。

A.
〇相続財産が未分割の場合
 被相続人の基準期間における課税売上高が1000 万円を超える場合には、事業を承継した相続人は、納税義務免除の特例規定により、相続があった日の翌日から課税事業者となります(消法10①)。ただし、相続財産が未分割の場合には、財産の分割が実行されるまでの間は各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱うこととされていますので、判定に用いる被相続人の基準期間における課税売上高は、各相続人の法定相続分に応じた割合を乗じた金額により判定することになります(消基通1-5-5)。


 ご質問のケースでは、相続人は妻と子供が2人ということですので法定相続分は、妻が1 /2、子供が各々1 / 4 となります。結果、被相続人の基準期間における課税売上高にこれらの法定相続分を乗じた金額はすべて1000 万円以下となりますので、相続人全員が免税事業者となることができます。

 本事例において、仮に相続人のうち1 人が事業の全部を承継することが年内に確定した場合には、8 月11 日~ 12 月31日期間分については事業を承継した相続人が課税事業者として申告と納税義務を負うことになります。つまり、遺産分割の確定が年内か年明けかということで納税義務の判定が変わることになりますので、遺産分割の確定時期については慎重に判断する必要があります。

〇遺産分割が確定した場合
 年の中途において遺産分割が確定した場合には、民法909条(分割の遡及効)の規定に基づき、遺産の分割は相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずることとされています。


 こうした理由から、被相続人の事業を承継する相続人の納税義務判定についても、相続のあった日においてその事業を承継したものとして取り扱うこととされていた時期もあったようです(消費税法基本通達の徹底解明29 ~ 30 頁/ぎょうせい)。

 しかしながら、消費税は税の転嫁を予定して立法されているものであり、その年の納税義務の有無については、「その年の前年12月31 日の現況に基づいて判定すべきである」という考え方が、現在の指針となっています(税務QA2007 年2 月号/上杉秀文著)。

 したがって、本事例の場合であれば、相続があった年の翌年において遺産分割が確定したとしても、前年末日時点では遺産は未分割の状態にあることから、法定相続分に応じて各相続人の納税義務を判定すればよいことになります。

 (注)法定相続分に応じて判定したことにより免税事業者となった相続人が、遺産分割が確定したことにより、結果として事業の全部を承継したとしても、その事実により、相続人の当初の納税義務判定が覆ることはないものと解釈されています(税務QA2007 年2 月号29頁コメント参照)。

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