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教えて熊王先生 消費税の落とし穴はココだ!税理士 熊王征秀

元請業者が工事の材料を支給 有償or無償で事業区分が変わる

2016/11/17

Q.当社は内装工事の下請事業を営んでおり、仕入控除税額の計算は、簡易課税制度の適用を受けています。当社の口座には、毎月の元請に対する請求金額から、元請が負担した材料代を相殺した後の金額が振り込まれてきます。当社の事業は建設業に該当するものの、元請から材料の支給を受けていることから、課税売上高は第4種事業に区分することになるのでしょうか?また、課税売上高として計上する金額は、材料代相殺前の請求金額と実際の振込金額のどちらになるのでしょうか?

A. 請求金額から材料代が相殺されているということは、いわば元請から材料を購入していることになります。したがって、事業区分は第3種事業に区分することができます。ただし、課税売上高に計上するのは材料代相殺前の請求金額となります。

☆建設業の事業区分
 建設業であっても、解体工事業などは「加工賃を対価とする役務の提供を行う事業」として第3種事業から除かれ、第5種事業にも該当しないので最終的に第4種事業に区分することになります。

 したがって、下請業者が元請から材料の無償支給を受けているような場合には、元請から収受する工事代金の実体は加工賃であり、たとえ建設業の売上高であっても第3種事業に区分することはできません。
 下請業者が元請業者から収受する工事代金については、主材料を自ら調達しているかどうかということで、第3種事業になるか第4種事業になるかを判断するということです。
 なお、「材料」とは工事に必要な主たる材料をいうのであり、下請業者が釘や接着剤などの加工資材を自己で調達していたとしても、元請から主材料である材木や砂利などの無償支給を受けている場合には第4種事業に区分することになりますのでご注意ください。

☆材料の支給形態を確認する
 
材料の支給形態が有償支給か無償支給かということは、帳簿面だけ眺めていたのでは判断ができません。また、同一の元請から受注する工事であっても、状況により材料の支給は有償になったり無償になったりすることがあります。したがって、事業区分にあたっては、工事現場ごとに、請負契約書を確認する、あるいは現場の担当者を通じて材料の調達方法をその都度確認する必要があるのです。


☆有償支給の材料費を相殺しない
 
ご質問のケースのように、元請から支給される材料が有償の場合には、請求書の内書で工事代金と相殺した材料費の金額を明示してくると思われます。これに合わせ、伝票の記帳あるいは会計データの入力にあたっては、必ず次のように両建で処理しなければなりません。


(借方)現金預金 ×××  (貸方)工事売上高×××
      材料費  ×××

 材料代を工事代金と相殺して処理した場合、所得計算上は影響がないものの、簡易課税により計算する場合には売上高の計上漏れということになってしまいます。つまり、納付税額の修正に直接影響することになりますから、この点についても十分に注意しなければなりません。

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