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スキャナ保存制度 承認件数が前事務年度の2.5倍に増加

2016/11/24

 国税関係書類のスキャナ保存制度を利用する企業が大幅に増えている。
 
 スキャナ保存制度は、平成17年4月の電子帳簿保存法の改正によって導入された。しかし、スキャンして保存する契約書や領収書は3万円未満に限られていたため、スキャナ保存制度を導入すると、3万円未満のものとそれ以上の金額のものとで業務フローを分ける必要があった。また、スキャナ保存をする際には電子署名が必要になるなど、現場からは「使い勝手が悪い」との声が聞かれていた。

 実際、スキャナ保存制度の承認件数(累計)を見ても、平成19事務年度は33件にとどまり、その後も微増が続き、平成25事務年度は133件、平成26事務年度も152件という状況だった。だが、平成27年度税制改正によって要件が緩和され、スキャナ保存の対象を「3万円以上の契約書および領収書」に拡大。また、スキャナで読み取る際に必要な入力者等の電子署名を不要とし、タイムスタンプのみとするなど、使い勝手の向上にともない、平成27事務年度(平成28年6月末まで)の承認件数は380件に急増。前事務年度から2.5倍の伸びとなった。

 スキャナ保存制度については、平成28年度税制改正でも要件がさらに緩和されている。例えば、受領した領収書を社外でスマートフォンやデジカメで読み取ることが可能となったほか、小規模企業者の特例を創設。これまで保存義務者は、いわゆる適正事務処理要件(①相互けんせい、②定期的なチェック、③再発防止策)に関して、事務手続きや規程を整備するとともに、これらに基づいた事務処理を行う必要があったが、小規模企業者において②の定期的なチェックを税理士等が行うときは、①の相互けんせいの要件が不要となった。

 これらの要件緩和は、平成28年9月30日以後の承認申請から始まっており、今後、承認件数がどこまで増えるかが注目される。なお、すでにスキャナ保存の承認を受けている書類であっても、平成28年9月30日以後に「申請書」を提出して承認を受けないと、従来の要件で保存することになるので注意したい。

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