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海外取引に監視の目 外国税務当局との情報交換事績を公表

2016/11/22

 国税庁はこのほど、平成27事務年度(平成27年7月~平成28年6月)における租税条約等に基づく情報交換事績の概要を公表した。

 租税条約等に基づく情報交換には、①「要請に基づく情報交換」、②「自発的情報交換」、③「自動的情報交換」の3つの類型がある(非居住者の金融口座情報をグローバルな枠組みで自動的に交換する新たな制度も平成29年1月から施行)。

 まず、①「要請に基づく情報交換」では、個別の納税者に対する調査において、国内で入手できる情報だけでは事実関係を十分に解明できない場合に、条約等締結相手国・地域の税務当局に必要な情報の収集・提供を要請するもの。海外の法人等との取引の内容や、海外金融機関の口座情報など、国際的な取引の実態や海外資産の保有・運用の状況を解明する有効な情報の入手手段となっている。

 平成27事務年度に国税庁から外国税務当局に発した「要請に基づく情報交換」の要請件数は366件(前事務年度526件)。一方、外国税務当局からの要請件数は291(同125件)件だった。

【要請に基づく情報交換の活用例】
 
内国法人の法人税調査において、製品輸出先であるA国法人Bに対する売上値引き処理に不審点が見受けられたため、A国の税務当局に対して、真実の取引実態を把握するために、当該値引き処理に係る会計上の処理の確認を要請した。A当局が法人Bに接触し、会計処理及び取引実態を確認した結果、内国法人が主張する値引きの事実はなく、架空の売上値引きを計上していた事実を把握した。

 次に、②「自発的情報交換」とは、自国の納税者に対する調査等の際に入手した情報で外国税務当局にとって有益と認められる情報を自発的に提供するもの。平成27事務年度に国税庁から外国税務当局に提供した「自発的情報交換」の件数は186件(同317件)。外国税務当局から提供された件数は33件(同1258件)だった。

【自発的情報交換の活用例】
 
内国法人の代表者が、C国に所在する法人Dから輸入した商品の仕入代金の一部を、C国に出張した際に現金で支払っており、法人Dにおいて現金支払分の売上げの計上漏れが想定されたことから、この事実をC国の税務当局に提供した。


 最後に、③「自動的情報交換」とは、法定調書から把握した非居住者等への支払等(利子、配当、不動産賃借料、無形資産の使用料、給与・報酬、株式の譲受対価等)に関する情報を、支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付するもの。

 平成27事務年度に国税庁から外国税務当局に提供した「自動的情報交換」の件数は約18万8千件(同約13万7千件)。外国税務当局からの提供は約11万7千件(同約13万2千件)だった。

【自動的情報交換の活用例】
 
「自動的情報交換」により国税庁がE国の税務当局から入手した海外金融機関からの受取利子に関する資料を基に、日本の居住者Fの申告内容を確認したところ、E国のG銀行に預け入れた預金に係る利息が申告されていなかったことから、これを課税した。

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