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金融庁 平成29年度税制改正で「積立NISA」の創設を要望

2016/09/02

 各省庁からの平成29年度税制改正要望が出そろった。今回は金融庁の要望をクローズアップする。

 まず、NISAのさらなる普及として、手元資金が十分でない若年層などの利用を促進する観点から、少額からの積立・分散投資に適した「積立NISA」の創設を要望。「積立NISA」は、現行NISAとの選択制で、年間投資上限額が60万円、非課税期間は20年間。長期・分散投資のメリットを十分得られるよう、現行NISAよりも年間投資上限を小さくする一方、非課税投資期間をより長期にしている。

 「積立NISA」の投資対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資商品。投資方法は、あらかじめ締結した契約に基づき定期・定額で投資(積立)を行うものに限定。恒久措置としての導入を要望する。

 その他、現行NISAの改善として、非課税期間(現行:5年間)終了時の対応、投資可能期間(現行:平成35年まで)の恒久化を要望している。

 次に、農林水産省・経済産業省との共同要望として、金融所得課税の一体化を要望。金融商品間の損益通産の範囲については、平成25年度税制改正により、上場株式等に加え、特定公社債等にまで拡大され、平成28年1月から実施されている。しかし、デリバティブ取引・預貯金等については、未だ損益通算が認められていない。

 そこで、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備するため、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大することを要望した。

 そのほか、上場株式等の相続税評価の見直し等として次の点を要望。①上場株式等の相続税評価額について、相続時から納付期限までの価格変動リスクを考慮したものとすること、②相続時以後、通常想定される価格変動リスクの範囲を超えて価格が著しく下落した上場株式等については、評価の特例を設けること、③上場株式等の物納順位について、第一順位(国債・地方債・不動産・船舶)の資産と同等となるよう見直しを行うこと。

 金融のグローバル化への対応としては、外国子会社合算税制(CFC税制)の抜本的見直しを求めた。CFC税制とは、軽課税国に所在する一定の外国子会社等(CFC)を通じた租税回避行為に対処するため、CFCの所得を国内の親会社の所得に合算して課税する制度。平成28年度与党大綱では、OECDのBEPSプロジェクトの議論を踏まえつつ、CFC税制の見直しを検討するとされている。そこで、見直しに際しては、日本の適正な課税権の確保を目的とする一方で、租税回避目的がない事業(外国で価値創造を行っている金融・保険業、航空機リース業など)が合算対象とならないよう、ビジネスの実態に配慮することを要望している。

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