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27事務年度の所得税調査 富裕層1件当たりの追徴税額は273万円

2016/10/31

 国税庁はこのほど、「平成27事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」を公表した。

 それによると、所得税の実地調査件数は、特別調査・一般調査が4万8千件(前事務年度4万9千件)、着眼調査が1万8千件(同1万8千件)、簡易な接触の件数は58万4千件(同67万2千件)。これらの合計件数は65万件(同74万件)で、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は39万6千件(同46万6千件)となった。

 実地調査によって把握された申告漏れ所得金額は、全体で5243億円(同5008億円)。そのうち特別調査・一般調査によるものは4522億円(同4319億円)、着眼調査によるものは722億円(同689億円)。簡易な接触によるものは3542億円(同3651億円)となり、これらの調査等合計で8785億円(同8659億円)だった。

 実地調査による追徴税額は全体で798億円(同742億円)。このうち特別調査・一般調査によるものは746億円(同696億円)、着眼調査によるものは52億円(同46億円)。簡易な接触による追徴税額は277億円(同265億円)で、これら調査等合計で1074億円(同1008億円)となっている。

 所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数は2万7千件(同3万件)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は2万件(同2万1千件)。申告漏れ所得金額は1548億円(同1500億円)だった。

 1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種としては、前年と変わらず、1位はキャバレー、2位は風俗業だった。目立った変動として、6位の解体工事(前年19位)、7位の型枠工事(前年15位)、9位の鉄骨鉄筋工事(前年17位)などが上位10業種に入っている。

 いわゆる「富裕層」(有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など)への対応としては、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に調査を実施。平成27事務年度では4377件(前年比100.4%)の調査を実施し、追徴税額は総額で120億円。1件当たりの追徴税額は273万円で、所得税の実地調査(特別・一般)1件当たりの追徴税額155万円の約1.8倍となっている。特に、海外投資等などを行っている富裕層に対し、平成27事務年度では565件(前年比126.1%)の調査を実施しており、1件当たりの追徴税額は756万円と高額だった。

 なお、消費税(個人事業者)の実地調査件数をみると、特別調査・一般調査が2万7千件(前事務年度2万8千件)、着眼調査は8千件(同8千件)、簡易な接触の件数は5万3千件(同5万件)で、合計件数は8万8千件(同8万6千件)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は6万1千件(同5万9千件)となっている。

 実地調査による追徴税額は、全体で215億円(同186億円)。このうち特別調査・一般調査によるものは193億円(同168億円)、着眼調査によるものは21億円(同18億円)。簡易な接触によるものは56億円(同47億円)で、これらの調査等合計で271億円(同232億円)となった。

【特別調査・一般調査】・・・高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる者等を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施。
着眼調査】・・・資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる者を対象に実地に臨場して短期間で行う調査。
簡易な接触】・・・原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡または来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するもの。

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