Vol.60 1月の練習のポイント(冬の走り込み)
2020/01/24
【1月の練習テーマ】
◎寒さによる故障や体調不良に気を付け、走り込みを行う
目標レースを3月初旬に設定すると、1月は走り込み期となります。寒さで故障や体調不良のリスクが高くなる時期ですので、ケアや体調管理へ注意してもらえたらと思います。
<冬の走り込み>
走り込みというと、主にレースが少なくなる夏場や冬場に行うことになりますが、夏場と冬場では内容が異なるものです。暑さで長い距離を走るのが難しい夏と異なり、冬は30kmといった距離走も行いやすく、ハーフやフルのレースも全国各地で行われています。
比較的モチベーションは保ちやすいものの、練習代わりのレースで自己ベストが出て、結果的に目標レースに調子が合わなくなってしまうことも往々にしてあることです。レースを活用することは有効ですが、練習量を減らすといった調整はあまりせずに、計画的に走り込みを行うことが重要です。
<週末に鍛え、平日に整える>
フルマラソンに必要な走り込みをするにあたり、基本となるのは週末等のまとまった時間に行う距離走です。1月は毎週のように20~30km走を計画し、ペースを上げるというよりも、じっくり走り切ることをテーマにして取り組んでください。
他方、平日に行う練習では、『可動域を拡げる』意識で走ることを心掛けます。寒い季節は、普段以上に筋肉や肩甲骨、股関節周りが固まってしまいがちです。マッサージやストレッチでほぐしていくことも重要ですが、ジョグの後に行う流しや週の半ばに行うインターバル走により、『動かしながらほぐす』感覚を身につけていきましょう。
<冬場の練習時のポイント>
寒い時期、車を急発進させればエンジンやタイヤ等に負担が掛かるように、人間の場合も筋肉や関節等、大きな負担が掛かるものです。走り出しは少し遅めのペースにして、体を温めてからペースを上げていくようにしましょう。
例えば1km5分00秒ペースでjogする時も、走り出しは1km6分くらいにして、5分、10分と経過して身体が温まってからペースアップしていきます。後半ペースを上げていく練習をすれば、最後にペースダウンするよりも『やり切った』と充実感を覚え、モチベーションにも繋がります。
インターバル走やペース走といったポイント練習をしている人は、しっかりウォーミングアップすることが重要です。入念なウォーミングアップで身体を温めてから走り出せば、怪我のリスクを抑えながら、速いペースで走ることができるはずです。そしてポイント練習においても、前半より後半にペースが上がるよう意識してほしいと思います。
また、身体を温めて気持ちよく走るためには、ウェア選びがポイントになります。ウィンドブレーカー等の重ね着もいいですが、着脱しやすく、洗濯物も増やさない小物で調整するのが便利。軽くて暖かい手袋やネックウォーマー、保温性の高いタイツなどの便利なものが揃っています。手袋やネックウォーマーは着脱が簡単ですし、それだけでウェア1枚分くらいの保温性があります。この時期にぜひ活用していきたいグッズです。
<ビルドアップ走の考え方>
多くの市民ランナーが取り組む練習の1つにビルドアップ走があります。ビルドアップ走とは、ウォーミングアップ程度の速度で走り始め、徐々にペースを上げ、最後は全力に近いスピードで走り終えるメニューです。最後は全力走のためにスピードを鍛えることができ、トータルの距離を延ばせばスタミナも養成できる万能のメニューともいえます。
また、最初はゆっくり走るために心理的なハードルが低く、身体が温まるとともにペースを上げるために故障のリスクが比較的少ないため、初心者でも取り組みやすいポイント練習になります。
ビルドアップ走の効能は否定しませんし、私自身も故障明けの時など状態を見ながら負荷を与えたいときに行うことはありますが、基本的なメニューに組み込むことは推奨しません。ペースを段階的に上げることで、最後の1-2kmは本当に負荷の高い練習となりますが、それまではウォーミングアップを兼ねている通り、負荷があまり高くないものです。スピード持久力という意味ではペース走、スピード強化という意味ではインターバルの方が効果的と考えます。
サブ3を目指す上級者の場合は、故障明けや1人で追い込みにくい場合などに取り組む、補助的なポイント練習として位置付けるのがいいでしょう。