スキルアップ税務

社長貸付金・社長借入金消去の税務 ~証拠の論点も踏まえて~68

2026/03/09

下記の裁決は航空写真が証拠として提出されています。

〇固定資産税等の税額変更処分/航空写真による家屋の増築時期の推測

(令01-07-19裁決 一部取消し TAINSコードF0-7-030)

 本件は、処分庁が、請求人自宅家屋の増築部分(本件家屋)につき、その建築年を平成26年と認定して、請求人等に対する平成27年度分から平成30年度分までの各年度に係る固定資産税等の税額変更(賦課決定)処分(本件各処分)を行ったところ、請求人が、「平成26年に増築したと主張する行政側の事実認定疎明資料が存在せず、増築年月日の事実認定が成されない上での課税は納得出来ない」等と主張し、本件各処分の取り消しを求めた事案です。審査庁(相模原市長)は次のとおり判断し、平成27年度分に係る上記処分を取り消しました。

 平成26年1月12日に撮影された航空写真には本件家屋が写っていないが、平成27年1月3日に撮影された航空写真には本件家屋が写っていること、また、処分庁が相模原市行政不服審査会に提出した平成27年11月27日時点における外観写真から、平成27年11月27日に本件家屋が課税要件を満たしていたことについては確証を得ることができる。

 これに対し、平成27年1月1日時点で課税要件を満たしていたことについて確認できる外観写真については、処分庁からは提出されなかったこと等から、賦課期日である平成27年1月1日時点で本件家屋が課税要件を満たしていたとの確証は得られず、(※下線筆者)本件家屋は、平成26年中に建築されたことについては推測の域を出ない。航空写真は一般的には境界確定訴訟において筆界、公法上の境界を判断、再現するための証拠として利用されます。課税時期前後において増改築について事実認定に着地することが予想できそうな場合、現地写真の補完として航空写真を入手します。

 下記の裁判例では他の借地権裁判例と同様に事実認定に着地しています。

〇【みなし贈与/借地権の無償取得/使用貸借契約から賃貸借契約への変更】

新潟地方裁判所平成22年(行ウ)第17号贈与税決定処分等取消請求事件(棄却)(確定)平成25年1月24日判決(Z263-12137)

〔事案の概要〕

 本件は、原告が、義父が所有していた本件土地について、平成16年1月31日付けで使用貸借契約から賃貸借契約に変更したところ、新潟税務署長が、上記賃貸借契約の締結による原告の借地権の取得は、相続税法9条が規定する「対価を支払わないで利益を受けた場合」に当たるとして、原告に対して、平成16年分の贈与税の決定処分等をしたのに対し、原告が利益を受けていないと主張して、その全部の取消しを求めた事案である。

〔当事者の主張〕

○納税者の主張

 原告には、以下の事情が存在し、本件賃貸借契約は使用貸借契約に近似したものといえるから、本件借地権の評価に当たり、評価通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある。したがって、本件借地権には経済的な価値はなく、原告に相続税法9条にいう「利益」は存在しないから、本件各処分はいずれも違法である。

 原告と乙は嫁婿と義父の関係にあり、昭和57年から平成16年1月まで本件土地を無償使用させるような家族関係にあった。

 原告は、平成16年2月以降乙に対する感謝の念から月額7万円の賃料を支払うことにしたにすぎず、両者において、借地権という経済的価値の発生を予定せず、その価値を贈与するという認識を有していなかった。

 原告は、乙死亡後、本件土地を相続した丙との間で、その利用形態を変えることなく、本件土地を無償使用している。本件賃貸借契約書作成から無償使用に戻るまで本件賃貸借契約に基づいて本件土地を使用した期間は9か月半にすぎない。本件賃貸借契約書作成前後において、本件土地の用途に変更はなく、第三者への借地権の譲渡等は全く想定されていなかった。

○課税庁の主張

 借地権は、原則として評価通達に従って取得時の時価によりその価額を評価する。ここでいう時価とは客観的交換価値をいうから、個別具体的な事情があることによって、当該財産の評価額と客観的な交換価値が乖離する結果を招く場合に限り、評価通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情として考慮し、評価通達による評価によらず他の合理的な評価方式によることが許される。

 本件において原告が主張している事情は、家族の内部関係、当事者の感情、契約内容とは関係のない関係者の認識など、いずれも極めて主観的かつ個人的な事情に過ぎず、本件土地の客観的な交換価値に影響するものではないから、上記特別な事情には該当しない。

 本件土地は借地権取引の慣行がある地域に所在するから、本件借地権の価額は評価通達27本文によって評価すべきである。そして、原告は本件賃貸借契約によって上記価額に相当する経済的利益を受けたこととなる。

〔判断〕

 評価通達に定められた評価方法を画一的あるいは形式的に適用することにより、客観的交換価値とは乖離した結果を導き、そのため、実質的な租税負担の公平を著しく害し、法の趣旨及び評価通達の趣旨に反することとなるなど、評価通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある場合は、評価通達とは別の評価方式により時価を評価することも許される(同旨・東京地裁平成4年3月11日判決・判例時報1416号73頁、その上告審最高裁平成5年10月28日第一小法廷判決・税務訴訟資料199号670頁)が、かかる事情がない限りは、評価通達に定められた評価方式によって当該財産の時価を評価すべきである。

 賃貸借契約の締結にあたり、原告と乙との間で権利金その他の一時金が支払われていないこと、賃貸借契約は建物所有を目的とすることからすると、原告は、対価を支払うことなく借地権(本件借地権)を取得したものと認められる。

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