税理士業務に役立つ保険ナレッジ

生命保険契約の「減額」に関する税務上の考え方(法人契約)

2026/09/07

1.基本的な考え方―資産計上額の按分取り崩し

 
法人契約では、保険料の支払時にその一部を「保険料積立金」「前払保険料」などとして資産計上します。減額(一部解約)を行うと契約の一部が消滅するため、その消滅した部分に対応する資産計上額を取り崩す必要が生じます。

 全部解約であれば、資産計上額の全額を取り崩し、解約返戻金の額との差額を雑収入又は雑損失に算入するのが基本的な考え方です。

 減額の場合はこれを比例按分して考えます。すなわち、資産計上額の累積額のうち、減額割合(減額部分の保険金額が減額前の保険金額に占める割合)に対応する部分を取り崩し、取り崩した資産計上額と実際に受け取った減額払戻金との差額を、その事業年度の雑収入又は雑損失として益金又は損金に算入します。

 この比例按分の考え方は、国税庁の質疑応答事例(一時払養老保険の保険金額を減額した場合における清算金等に係る一時所得の金額の計算)の継続的な取扱いに該当し、また、法人税基本通達9-3-7の2において払済保険への変更時の資産計上額の取り扱いが明文化されていることなど、減額时にも移行対象額が資産計上額に占める割合に応じて積立金を按分して取り崩すことが合理的とされています。

2.令和元年7月7日以前の法人契約の減額

 令和元年の法人税基本通達9-3-5の2等の改正前の契約について減額を行った場合も、考え方は先述の1の基本的考え方と同じです。

 すなわち、減額時点における資産計上額のうち、減額割合に対応する部分を取り崩し、保険会社から支払われる減額払戻金との差額を雑収入又は雑損失として計上します。保険料の前払期間中か資産計上期間経過後かにより取崩し対象となる資産計上額の残高が異なりますが、比例按分して取崩す計算の枠組みそのものに変わりはありません。

3.令和元年7月8日以後の法人契約の減額

 令和元年の法人税基本通達改正後の契約についても、減額時の考え方は改正前と同様に按分により取り崩します。しかし、法人税基本通達9-3-5の2(注)5に、「契約内容の変更に伴い、責任準備金相当額の過不足の精算を行う場合には、その変更後の契約内容に基づいて計算した資産計上額の累計額と既往の資産計上額の累計額との差額について調整を行うことに留意する。」とあります。

 すなわち、減額直前の資産計上額の累積額から、当初から減額後の保険料で計算した資産計上額の累積額を差し引いた額を取り崩します。取り崩した資産計上額と実際に受け取った減額払戻金との差額は、雑収入又は雑損失として処理します。残存する契約部分については、残りの資産計上額を基礎として、その後の資産計上や取崩しを継続します。

4.経理処理(共通)

 例えば、長期定期保険では、以下の通り経理処理され、未経過保険料があれば、当座預金に含めて精算されます。ともに配当金積立金はそのままにしておきます。

当座預金××× / 前払保険料×××
        / 雑収入×××

5.さいごに

 実際に計算してみると、2の場合も3の場合も金額的にはあまり変わりはありません。しかし、いつの契約の保険商品かを意識して資産計上額を改めて確認して、正しく減額の経理処理をすることが求められます。解約のように、契約自体がすべてなくなるわけではありません。

解説/追中 徳久 税理士

PAGE TOP