法人契約における生命保険金の計上時期
2026/06/30
法人が受け取る生命保険金は、原則として「保険事故が発生し、かつ保険金請求権が確定した日の属する事業年度」の益金に算入するとされます。
その根拠である法人税法第22条第2項は、各事業年度の益金の額に算入すべき金額を「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額」とします。
また、法人税法第22条第4項は、「第2項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算される」とします。
ここでいう「収益の額」の計上時期については、判例・実務を通じて確立した「権利確定主義」が採られています。すなわち、収益はその実現があった時、より具体的には、収益の原因となる権利が確定した時点で計上すべきものとされます。現金主義ではありません。
1.保険金請求権が発生した日と権利が確定した日
保険金請求権の発生した日とは、保険事故発生日です。死亡保険金は死亡日、満期保険金は満期日、三大疾病保険金は確定診断日、入院給付金は入院日、解約返戻金は解約日とされます。そして、死亡保険金以外は、保険金請求権発生日が、原則、権利確定日とされます。
しかし、死亡保険金についての権利の確定日につき、死亡日なのか、保険会社からの支払通知日なのか、また入金日なのかと判断に迷います。
2.死亡保険金の特殊性
死亡保険金請求権は、保険契約に基づき保険事故(被保険者の死亡)の発生により当然に発生する権利です。このため、この死亡時が原則的な収益計上時期となります。支払調書にも死亡日が記載されていると思います。
しかし、死亡保険金については死亡原因の調査が必要な場合があったり、代表者死亡の場合は後任者の選任が必要だったりして、時間がかかる場合があります。そのため、保険会社からの支払通知日とする考え方が有力です。
3.令和6年2月26日裁決
納税者が死亡保険金の益金計上時期を、保険会社からの支払通知日の属する事業年度として申告したのに対し、課税庁は死亡日の属する事業年度だとして争われた事例です。これに対し、国税不服審判所は納税者の主張を認めました。理由は以下の3点でした。
①保険金は死亡時点で無条件に確定するものではない。
②死亡から請求までの3~5ケ月の期間は、病気死亡でも合理的である。
③通知日とするのは、法人税法第22条第4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算」されたものである。
4.まとめ
死亡保険金については、調査が必要な場合もあるので、ある程度の時間的ずれがあるのは問題ないとも思います。しかし、裁決は個別事例に対する判断なので、3~5ケ月のずれなら大丈夫と思わない方がよいと思います。
特に、事業年度をまたぐ場合は、課税庁から益金計上の先延ばしだと勘繰られないように注意すべきだと思います。課税庁と争うこと自体がストレスです。
解説/追中 徳久 税理士
