経産省・中企庁 非上場株評価の見直しに意見 事業承継への影響を懸念
2026/09/17
9月16日に開催された第6回「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」において、経済産業省・中小企業庁などが「『取引相場のない株式の評価』見直しに係る意見」を提出した。
意見書では、まず「(1)評価額の変動による事業承継への影響について、業種や経営状況等に応じた、個別具体的なケース別、類型別及びマクロでの分析・試算を示し、拙速ではなく丁寧に検証・議論すべき」との考えを示している。
具体的には、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第6回)の国税庁資料における評価水準の分析は、企業の規模別の中央値の指標を示しているのみのごく限定的なものであり、企業への影響の程度はこれだけでは全く不十分である。単にマクロの税収への影響にとどまらず、我が国には、中堅・中小企業が約175万社(法人数)いる中で、どのような事業者にどの程度の負担増となるか、個々のケースや詳細な類型別の影響が具体的に把握できるよう、業種や経営状況等に応じた具体 的な試算・検証を広範に行った上で、関係者の納得が得られるように十分な時間をかけて丁寧に議論を行うことが必要と考える」とした。

さらに、「(2)国の政策的方向性に逆行するような見直しとならないこと」では、今回の見直し案は、純資産額に直近5年程度の超過収益を上乗せして株式評価額とするものであるが、こうした評価方法の変更により、次のような影響が懸念されるとした。
① 地域の中堅企業を含め、資産規模の大きい企業、収益性の高い企業、国内外に子会社を保有する企業は、評価額(納税負担)が大幅に増大し、納税資金を捻出するため、株式や事業資産を第三者に売却せざるを得なくなる、あるいは設備投資等の成長投資に充てるべき資金調達枠を納税資金の確保に充てる可能性がある。さらには廃業に追い込まれる等、事業承継に支障を来すおそれがある。
② 企業の収益拡大が承継時の負担増に直結するため、企業経営者が収益拡大に向けた成長投資を抑制するおそれがある。
その上で、会議の中で「評価と負担」の問題は別であり、負担の問題は税制で対応すればよいとの考え方が示されていることについて、「事業承継税制については、中堅企業は対象外であり、中小企業においても長期にわたり管理コストがかかる等により活用できる者は限られている実態を踏まえて検討する必要がある」などと指摘。
最後に、「いずれにしても、経済政策の方向性と逆行することや円滑な事業承継の停滞を招くようなこととならないよう、要望するものである」と結んでいる。
『取引相場のない株式の評価』見直しに係る意見」はこちら。