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遺留分をめぐる家族の争い ①遺留分取得者に特別寄与料を請求

2026/05/11

 遺留分をめぐる争いは、これまでの人間関係を浮かび上がらせることがある。令和5年10月26日の最高裁決定もそのひとつだ。

 被相続人である父は、生前、「全財産を長男に相続させる」という遺言をした。そして、長男が遺産のすべてを取得する一方、次男の相続分はないものと指定された。そこで次男は、長男に対して遺留分侵害額請求権を行使する意思表示をし、その結果、一定の金銭を取得した。

 ここで、長男の妻であるAの関与が焦点となる。父の生前、Aは献身的に介護や身の回りの世話を行い、父の財産の維持または増加について特別の寄与をしたとして、民法1050条に基づき、次男に対して特別寄与料を請求した。

 特別寄与料は、各相続人がその法定相続分等に応じて負担する。だが、次男は遺言によって相続分をゼロとされており、Aの特別寄与料の請求を拒否したことで争いとなった。

 争点は、遺留分侵害額請求により財産を取得した次男に対し、特別寄与料の負担を求めることができるのか否か。

 最高裁は、「民法1050条5項は、相続人が数人ある場合における各相続人の特別寄与料の負担割合について、相続人間の公平に配慮しつつ、特別寄与料をめぐる紛争の複雑化、長期化を防止する観点から、相続人の構成、遺言の有無及びその内容により定まる明確な基準である法定相続分等によることとしたものと解される」とした上で、「遺留分侵害額請求権の行使という同項が規定しない事情によって、上記負担割合が法定相続分等から修正されるものではないというべきである」と指摘。「そうすると、遺言により相続分がないものと指定された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しないと解するのが相当である」と判断した。

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