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遺留分をめぐる家族の争い ~相続分の放棄は贈与に当たるか?~

2026/06/08

 遺留分をめぐる争いは、相続開始前に行われた財産の移転が問題となることもある。平成30年10月19日の最高裁判決は、その典型例だ。

 父の相続をめぐる遺産分割の途中で、母と相続人Yが、それぞれの相続分を相続人Bに譲渡し、手続きから脱退した。その後、母は自身が持つ全財産をBに相続させる旨の公正証書遺言を行い、4か月後、父の遺産について遺産分割調停が成立した。

 しばらくして母が死亡。相続開始時において、約35万円の預金債権を有していたほか、約36万円の未払介護施設利用料債務を負っていた。このような状況の下、別の相続人がBに対して遺留分減殺請求権を行使した。問題とされたのは、Bに対して行われた「相続分の譲渡」だ。この行為が、遺留分算定の基礎となる財産額に算入すべき贈与に当たるか否かが争われた。

 高裁は、相続分の譲渡による相続財産の持分の移転は、遺産分割が終了するまでの暫定的なものであり、最終的に遺産分割が確定すれば、相続分の譲受人は相続開始時にさかのぼって被相続人から直接財産を取得したことになるから、譲受人に対して財産の贈与があったとはいえないと判断、遺留分侵害を否定した。

 しかし、最高裁は、「共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産および消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、譲渡をした者の相続において民法903条1項に規定する『贈与』に当たる」と判示し、原判決を破棄して高裁に差し戻した。

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