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相続・事業承継Vital Point of Tax

都道府県別 令和3年分相続税の申告状況をチェック!

2023/05/17

 国税庁が公表した令和3年分の相続税の申告状況によると、令和3年の1年間(令和3年1月~12月)における全国の被相続人数(亡くなった人)は143万9856人で、そのうち相続税の課税対象となった被相続人数は13万4275人。前年分の12万372人より1万3903人増加した。

 令和3年分の相続税の課税割合は9.3%で、前年分の8.8%から0.5ポイント増加した(令和3年分は令和4年10月31日までに提出された申告書に基づき作成している)。

 相続税の申告状況を都道府県別で見てみる。



 課税割合が最も高かったのは東京都の18.1%で、前年分の17.0%から1.1ポイント上昇。次いで、愛知県14.9%(前年分14.3%)、神奈川県14.1%(同13.5%)、埼玉県11.1%(同10.4%)、京都府10.6%(同10.1%)、静岡県10.5%(同9.9%)、奈良県10.0%(同9.7%)と続いている。47都道府県のうち、相続税の課税割合が10%を超えたのは、この1都1府5県だった。

 課税対象の被相続人数を都道府県別に見ると、課税割合と同様、東京都が2万3130人(同2万636人)と最も多い。続いて、神奈川県1万2674人(同1万1390人)、愛知県1万963人(同1万8 7人 )、大阪府9195人(同8092人)、埼玉県8320人(同7362人)、千葉県6384人(同5549人)、兵庫県6098人(同5342人)となっており、この1都1府5県は、課税対象の被相続人が6千人を超えている。

 相続税の基礎控除が引き下げられる前の平成26年分の課税対象者は5万6239人。令和3年分は13万4275人と約2.4倍に増えており、国税庁では、申告件数が大幅に増加したことを受けて、実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用している。

 具体的には文書や電話による連絡、来署依頼による面接によって申告漏れ、計算誤りなどがある申告を是正するなどの「簡易な接触」を積極的に行っている。

 こうした簡易の接触を令和3事務年度は1万4730件(前事務年度1万3634件)に行い、このうち申告漏れなどの非違や回答などがあったのは3638件。申告漏れ課税価格は630億円、追徴税額は69億円となり、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた平成28事務年度以降で最高となった。

 高齢化により相続の発生件数が増えているが、それだけ相続人同士の争いも増加傾向にある。最高裁判所の令和元年度・司法統計年報(家事事件編)によると、遺産分割事件の新受件数(審判+調停)は、高齢化の影響などによって近年は高止まり状態にあり,令和2年は1万4617件だった。

 相続財産をめぐる争いというと、資産家の問題と思われがちだが、遺産分割事件で争っている金額の割合を見ると、5000万円以下や1000万円以下の遺産をめぐる争いは非常に多く、遺産の多寡に関係なく、相続人が複数いれば、どんな家庭でも争いが起きることが分かる。特に、相続財産の中には簡単に分けられないものも多いだけに、相続を『争族』にさせない事前対策をしっかり考えておくことが重要といえる。

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