国立がん研究センター 「がん5年生存率(2012~2015年診断)」を公表
2025/12/11
国立がん研究センターはこのほど、2012〜2015年に診断されたがん患者を対象に、住民ベースのデータに基づく「がんの5年生存率」を公表した。

これは、日本のがん患者生存率を住民ベースで計測した国全体と各都道府県の実態を反映した統計値で、がん対策の立案・評価に有用な指標とされている。地域がん登録データをもとに、44地域254万6954症例を対象に部位別・臨床進行度別・年齢階級別に集計、国際比較にも利用できる数値を出している。
AYA・成人(15歳以上)男女の5年純生存率をみると、胃63.5%、大腸(直腸・結腸)67.2%、肝および肝内胆管33.7%、肺35.5%となっている。男女別でみると、男性では前立腺が94.3%で最も高く、膵臓は10.7%と最も低い。女性は甲状腺が92.7%、膵臓が10.2%で、部位によって大きな差がみられた。
小児(15歳未満)では全分類の5年純生存率が82.3%で、胚細胞性腫瘍・網膜芽腫が94%台と高い値を示す一方、中枢神経系、その他頭蓋内、脊髄腫瘍は57.1%と低い値を示した。
また、1993年から2015年までを7期間に区分し、主要21部位別に純生存率の年次推移を比較したところ、男性では多発性骨髄腫(+21.0ポイント)、前立腺(+34.9ポイント)、悪性リンパ腫(+18.2ポイント)。女性では悪性リンパ腫(+21.6ポイント)、多発性骨髄腫(+15.5ポイント)、肺(+18.4ポイント)、白血病(+19.5ポイント)で大きな向上がみられた。
一方、膀胱は男女とも低下し、女性では子宮頸部でもわずかな低下が確認された。甲状腺、皮膚など、もとより生存率が高かった部位は大きな変化がみられず、胆のう・胆管や、膵臓、女性の口腔・咽頭では依然として低い水準の生存率にとどまっていることが示された。
国立がん研究センターは、生存率の経年変化には治療法や早期診断割合、医療アクセスの変化など多様な要因が関係しており、今後はがん登録情報を基盤に関連データを併せた総合的な分析が必要だとしている。
※純生存率
「がんのみが死因となる状況」を仮定して、実測生存率に重み付けをするのが純生存率です。がん死因と他死因が不可分であり、特に高齢患者のようにがん死因と他死因とで共通する死亡リスクがある場合に生存率を過大評価してしまう偏りを克服している。現在、Pohar-Perme法による純生存率は、国や都道府県等、一定の集団を対象とした住民ベースのがん統計に、国際的にも広く採用されている。
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