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指導をパワハラと訴えられた! そんな時こそ「雇用慣行賠償責任保険」

2024/06/10

『もう、出社できません・・・』

 とある税理士事務所に、職員Fから突然連絡が入りました。
話を聞くと、Fは、上司であるKからのパワハラ行為で精神的に追い詰められ、うつ病と診断されたというのです!

 その事務所では、今までこういった事例はなく、所長は「大きい事務所ではないし、風通しも良い。みんなコミュニケーションが取れているから、うちにハラスメントの問題なんて起きるはずがない」と思っていました。
 Fからの連絡に驚いた所長は、Kを問い詰めました。
「F君が君にパワハラを受けたと言っているぞ。一体、どういうことなんだ」

 これに対してKは、
「待ってください!確かに、大きい声で怒ったり、口調が少し荒くなることもありますが、それはF君のことを思っての指導です。私だって先輩から怒られて成長してきたんです。そもそも、F君とは一緒に飲みに行くこともあるし、関係は良好でしたよ」
 上司のKは、「パワハラはなかった」と主張しています。しかし、しばらくしてもFは復帰することができず、退社を余儀なくされました。

 もし、Fが上司のKや事務所を訴え、訴訟に発展すれば、事務所は精神的苦痛による慰謝料などを請求されることが想定されます。仮にパワハラだと認められず、事務所に責任はないと判断されても、弁護士費用など裁判に要する費用が生じ、事務所は経済的ダメージを被ります。

 このような時に有効な保険が「雇用慣行賠償責任保険」です!

 近年、雇用トラブルの増加から、業種や規模を問わず多くの経営者や人事担当者のニーズが高まっている保険のひとつで、通称、「パワハラ保険」ともいわれています。

 それでは「雇用慣行賠償責任保険」がどのような保険なのか、どうして今ニーズが高まっているのかを見ていきましょう。

〇雇用慣行賠償責任保険とは

 雇用慣行賠償責任保険は、企業やその役員、従業員に対して「不当行為」(パワハラやセクハラなどのハラスメント行為や、不当解雇、雇用上の差別などによる雇用トラブル)で訴えられ、請求される損害賠償金、訴訟費用、和解金や示談金を補償する保険です。 
 加入方法は、主に単体での加入か、企業向けのパッケージプランの特約として付帯する方法があります。

〇雇用トラブルの事例

・上司からパワハラ、セクハラを受け精神疾患を患ったとして慰謝料の請求をされた。

・勤務態度をいくら指導しても改善されない従業員を解雇。その後、不当解雇だとして本来働いていたら得ていたはずの未払い賃金と、解雇されたことで受けた精神的苦痛に対する慰謝料の請求をされた。

・女性従業員から、同時期入社の男性従業員と比較し、昇格・昇進において著しい差別待遇を受けたとして、男女差別がなかった場合に昇格し、支給されたとされる賃金との差額相当額を請求された。

・外国人労働者が他の従業員との労働条件が異なる事に対し、国籍の違いによる差別だとして、他の従業員と同じ労働条件だった場合の賃金との差額相当額と精神的苦痛に対する慰謝料の請求をされた。
→外国人労働者とのトラブルの中には、言語や文化の違いによる認識の違いや、価値観の違いから雇用トラブルに発展したケースも!
※以上は想定される雇用トラブルの事例であり、実際に保険金が支払われるものとは限りません。

〇なぜ、いま「雇用慣行賠償責任保険」なのか

 ここ数年で様々な○○ハラというワードが日常的に出てくるようになりました。冒頭の税理士事務所の事例ですが、上司のKは部下に対してパワハラをした覚えはないと主張しています。その言葉とおり、本人は部下のためを思って指導していたと思われます。
 ですが、昔は良かったこと、通用していたことが、今の時代では不適切に値することがたくさんあります。それをきちんと理解しておかないと、何気ない言動や行動がハラスメントとして受け取られてしまう恐れがあります。
 特に、2020年に大企業、2022年には中小企業に対してパワハラ防止法が施行され、パワハラの定義が法的に定められ、企業の対応や対策が義務化されました。つまり、小さな事務所や飲食店だとしても、雇用関係を持っていれば、大企業と同じように対応や対策を講じなければならないという時代になったわけです。
 企業が雇用トラブルの責任を問われ、損害賠償金の請求や、訴訟費用などで高額な支払いが発生するリスクは高まる一方です。社内のルールや対応方針を決めるのはもちろん、社内研修などによってハラスメントの理解を深めることも重要といえます。
 そして、思わぬことから雇用トラブルが起きてしまった時の備えのひとつとして、『雇用慣行賠償責任保険』の加入を考えてみてはいかがでしょうか。

雇用慣行賠償責任保険は保険会社や契約形態によっては補償内容が異なることがあります。
詳しくは日税グループの保険代理店㈱日税サービスにお気軽にご相談ください。

執筆/元保険営業担当者U

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