全国平均2.8%上昇 5年連続プラス 令和8年公示地価 インバウンド・再開発が押し上げ
2026/05/01
国土交通省はこのほど、令和8年1月1日時点の公示地価を公表した。景気が緩やかに回復する中、地域や用途により差があるものの、全国の全用途平均は上昇率が拡大し、三大都市圏、地方圏ともに上昇が続いている。今回の地価公示は、全国2万5565地点を対象に令和8年1月1日時点の価格を調査した。
住宅地、商業地、工業地を合わせた全国全用途平均は前年より2.8%上昇し、5年連続の上昇となった。用途別では、住宅地2.1%、商業地4.3%、工業地4.9%となった。
三大都市圏の地価動向は次のとおり。
東京圏…全用途5.7%、住宅地4.5%、商業地9.3%、工業地6.8%。
大阪圏…全用途3.8%、住宅地2.5%、商業地7.3%、工業地8.1%。
名古屋圏…全用途2.3%、住宅地1.9%、商業地3.3%、工業地3.7%。

東京都の地価の動きを見ると、住宅地、商業地ともに23区すべて上昇。住宅地で上昇率が大きいのは港区16.6%、台東区14.2%、品川区13.9%、中央区13.8%、文京区13.8%、目黒区13.7%。住宅需要は全体的に堅調だが、とりわけ都心区やこれに隣接する区の利便性や住環境に優れた地域ではマンション需要が旺盛で、地価上昇が継続している。
東京都の商業地を見ると、上昇率が大きいのは台東区19.1%、文京区17.8%、中野区17.5%、杉並区17.5%、品川区16.3%、荒川区16.2%、北区16.2%。マンション需要との競合が見られる地域を中心に上昇幅が拡大したほか、土産物屋や飲食店が浅草(台東区)では、インバウンドを含めた観光客の増加により店舗等の需要が増加傾向にあり、高い地価上昇が続いている。
大阪府の地価を見ると、大阪市の住宅地が6.5%上昇し、23区で上昇率が拡大した。特に西区、浪速区の上昇率は10%を超え、北区、城東区、鶴見区、都島区、中央区、福島区、東淀川区、東成区などにおいて8%以上の高い上昇率を示している。堺市では3.9%上昇、全区で上昇率が拡大した。
大阪市の商業地は12.7%上昇し、此花区、阿倍野区以外で上昇率が拡大。大阪駅前の「うめきた2期」の開発による効果や観光客の増加が影響したほか、インバウンド需要の影響が大きいミナミの商店街や飲食街などの地域では店舗・ホテルの需要が高まり、上昇率が拡大した。
愛知県では名古屋市の住宅地が3.1%上昇。全16区のうち12区で上昇率が縮小した。住宅需要は引き続き堅調だが、近年の地価や建築費の上昇に伴い、売れ行きの鈍化傾向が見られ、熱田区、中村区、千種区など、地下鉄駅徒歩圏内の利便性に優れる地域での需要は堅調だったが、上昇幅は縮小した。名古屋市の商業地は4.5%上昇。全16区のうち、11区で上昇率が縮小した。すべての区で上昇は継続しているものの、地価や建築費の上昇に伴い、上昇幅は縮小した。
一方、地方圏を見ると、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)において地価が上昇しており、全用途4.5%、住宅地3.5%、商業地6.4%、工業地8.0%のプラスとなった。いずれも13年連続の上昇となり、地方四市の中心部の地価上昇にともない需要が波及した周辺の市町でも高い上昇率を見せている。
特徴的なのは、長野県白馬村の住宅地は、国内富裕層や外国人による別荘やコンドミニアム需要が旺盛で、平均変動率は22.8%だった。また、北海道千歳市では、大手半導体メーカーのラピダスの進出を契機として賃貸マンション用地をはじめ、事務所・ホテル・店舗用地への需要が非常に旺盛で、同市の商業地の平均変動率は29.7%と高い地価上昇が継続している。
なお、全国の地価トップは、東京・銀座の山野楽器銀座本店の1平方メートルあたり6710万円で、前年から660万円増加した。