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税務の勘所Vital Point of Tax

ふるさと納税 どうなる返戻品の見直し 勝浦市は「感謝券」を廃止 

2017/03/07

 「感謝券の転売は禁止です。 お贈りした感謝券をネットオークション等により転売しているケースが散見されます。このままでは感謝券の発行を中止せざるを得ません」

 こうした呼びかけもむなしく、千葉県勝浦市は2月末の受付を最後に、ふるさと納税の返戻品「かつうら七福感謝券」の贈呈を終了すると発表した。「かつうら七福感謝券」は、宿泊、レジャー、飲食、販売など、市内の多くの取扱店で利用できるため、感謝券を贈呈することで他の地域から足を運んでもらい、勝浦市の魅力を感じてもらうことを狙いとしていた。しかし、インターネットによる転売行為が相次ぎ、総務省からの指摘や千葉県からの指導を受けた勝浦市は、感謝券の贈呈終了を決定した。

 そもそも返戻品(特産品)について、総務省は平成28年4月1日付の通知で、「次に掲げるようなふるさと納税の趣旨に反するような返戻品(特産品)を送付する行為を行わないようにすること」として、以下を挙げている。

 ①金銭類似性の高いもの(プリペイドカード、商品券、貴金属、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金等)、②資産性の高いもの(電気・電子機器、貴金属、ゴルフ用品、自転車等)、③高額又は寄附額に対し返戻割合の高い返戻品(特産品)。

 勝浦市の「かつうら七福感謝券」は、インターネットで転売されるなど換金性があり、「ふるさと納税の趣旨に反するような返戻品(特産品)」に該当すると判断された模様だが、こうした返戻品の見直しは、今後、全国の自治体に広がっていくことが予想される。

 というのも、高市早苗総務相は、2月14日の閣議後の会見で、ふるさと納税の返戻品について「地方団体間の競争が過熱したり、一部の地方団体において制度の趣旨に沿わないような返礼品が送付されていることは、問題であると認識している」、「平成28年4月1日付の通知により、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品を行わないよう、地方団体に要請しているが、この通知に照らして適切でない事例もあり、個別団体の返礼品の見直しについて、担当部局が都道府県とも連携しながら働きかけを行っていく」と述べ、さらに、「今後、個別団体への働きかけを強化していく」という姿勢を見せているためだ。

 勝浦市以外にも、総務省が指摘する「ふるさと納税の趣旨に反するような返戻品(特産品)」に該当しそうな高額な返礼品などを用意する自治体も依然として見受けられる。ふるさと納税は、国民から爆発的な人気を得ているだけに、各自治体による今後の返戻品(特産品)の見直しが注目されるところだ。

 なお、「かつうら七福感謝券」は廃止となったが、勝浦市では米や地酒、海産物といった魅力的な返戻品(特産品)を多数用意しているので、ホームページなどでチェックしてみてはいかがだろうか。

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