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税務の勘所Vital Point of Tax

ハズレ馬券の税務処理  今度は『舟券』で税金バトル

2017/05/05

 二匹目のドジョウは「舟券」か…?ハズレ馬券代金の経費化が所得税の計算上認められた裁判を下敷きにした税金紛争が持ちあがっていたことが分かった(平成2 8年6月3日裁決)。今度はボートレースのハズレ舟券代金でも経費化が認められるかを争ったものだ。

 ハズレ馬券の代金が経費に認められたのは、データを分析しパソコンソフトを利用して多数のレースで多種類の馬券を継続的に購入していたケース。個々のレースで当たり外れする偶然性の影響を抑え、かけたレース全体で回収率を高める周到な買い方というのが特徴だ。

 この結果、所得税法上の所得区分は、当たり馬券しか経費にならない一時所得ではなく、雑所得と認定され、ハズレ馬券代金の経費化への突破口になった。現に国税庁通達でも、扱いが変わっているほどだ( 所得税基本通達34-1(注))。さて、今回はどうだったのか…。

 裁決書によると、A氏は、払戻金を受け取っていたが、舟券等の購入費用が大きく所得税の申告をしていなかった。税務署はそこへ目を付け、追徴課税したことで争いとなった。

 審理した国税不服審判所が改めて調査してまとめたところによると、A氏のボートレースへの「投資」は、平均して1日に2レースから3レース程度。すべてのレースで舟券を購入していたような大量で網羅的な購入状況は認められなかった。

 また情報分析といってもレースの都度、テレビ等から得られる情報を基にかけるレースの舟券等を選択。つまり、パソコンなど利用するまでもない自分の判断で、購入した個々の舟券を的中させて払戻金を得ようと意図した購入方法だった。

 こうしたことから、国税不服審判所はA氏の「舟券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得には該当しない」としてハズレ舟券の経費化を否定した。改めて審判所の厳しいチェックを受けたA氏にとって、二匹目は「やぶ蛇」だったといえそうだ。

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