愛の不時着と非営利法人の華麗な関係
2020/08/19
韓国の財閥令嬢がパラグライダーで飛んでいたら、突然竜巻が起こって38度線を越え、北朝鮮まで吹き飛ばされてしまう。木に引っかかっている姿を北朝鮮軍将校に発見され、慌てて落ちてきたところを両腕でキャッチ。人気の韓国ドラマ『愛の不時着』は、こうして北朝鮮に隠れ棲むことになってしまった財閥令嬢と、それを秘密裏に韓国に送り返すべく秘策を練る青年将校との悲恋物語ですが、最後には韓国と北朝鮮に引き裂かれてしまった二人にスイスでの再会が待っていました。それをお膳立てしたのは、財閥令嬢が奨学財団として設立した韓国の非営利法人で、スイスで年1回のコンサートを開催するという筋立てになっています。
さて、長々と話を引っ張ってきましたが、本題はおとなり韓国の非営利法人です。我が国ともなじみの深い韓国の非営利法人制度は、どのようになっているのでしょうか。
韓国では、非営利法人は民法32条により設立した法人と、私立学校法やその他の特別法により設立された法人があります。これは、2008年より前の我が国の旧公益法人制度によく似ています。当局の許可によって法人が設立され、当局の設立許可の取り消しによって解散させられるところは、我が国の旧公益法人制度を彷彿とさせます。
韓国政府は、2020年7月17日、北朝鮮に向けて金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長を批判するビラを散布していた脱北者団体「自由北朝鮮運動連合」と「クンセム」の非営利法人としての設立許可を取り消したことを明らかにしました。政府は、両法人が設立目的以外の事業を行って南北境界地域の住民の生命・安全を脅かし、朝鮮半島に緊張状態をもたらすなど公益を害したとしています。
なお、これに先立って、2020年3月3日には、新型コロナウイルスの感染を拡大させた責任が大きいとして宗教団体「新天地イエス協会」が設立した社団法人の設立許可を取り消すことをソウル市が明らかにしていました。この宗教団体の教祖は、2020年8月1日、感染症予防違反の疑いで逮捕、協会の資金を横領した疑いでも追及を受けています。