赤い羽根募金の横領はなぜ起きたか
2026/07/14
社会福祉法人北海道共同募金会で、赤い羽根や歳末助け合いで集められた毎年7億円近い募金のうち少なくとも1億8,000万円を50代の男性事務局長が横領していた疑いがあることが明らかになりました。2026年2月に札幌国税局が所得税法違反の疑いで査察に入り、発覚したものです。
子どもたちが駅頭などで黄色い声を張り上げて「募金をお願いしま〜す」という姿にほだされて赤い羽根募金や歳末助け合い募金をした人は多いでしょう。しかし、そうして集められた資金がどこへ流れていくか、知る人は少ないと思います。

実は、その資金の多くは募金を集めた団体に還流されてそこの運営資金に充てられます。これを募金会では「地域福祉活動の貴重な資金として活用されています」などと説明していますが、果たしてそれは募金をした寄附者の意思にかなっているといえるのでしょうか。もともとは戦災孤児や生活困窮家庭などの困っている人に届けようという趣旨で行われていたものがいつの間にか形骸化して、今では組織を維持するための資金として多くが使われているというのが実態なのです。
1億8,000万円を横領した男性事務局長は、そのことを知り過ぎるほど知っていたに違いありません。募金が本当に生活に困っている人たちに届けられるものであったら、横領などして、その人たちを困らせるようなことはなかったかもしれないのです。
なぜ、赤い羽根募金や歳末助け合い募金が、こんなことになっているのか。極端な話、今の日本にはもう困っている人などいないのです。いや正確にいうと、個人的な理由で困っている人はいても、制度的な理由で困っている人はもういないのです。それはそうです。もし児童福祉施設などで制度的に困っていることがあったとしたら、とっくに行政が対応しているはずだからです。生活に困っている人がいたら、誰かが募金をして助けてくれなくてもいいように、生活保護などで行政が対応しているのです。税金はそういうことのためにも徴収されているのですから当然です。
それにしても、オールドメディアと呼ばれる大新聞やテレビなどが、事件の背景にあるこのような資金還流の実態から目をそらして、ありふれた横領事件としての報道に終始しているのは不思議としかいいようがありません。
