日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

スキルアップ税務

社長貸付金・社長借入金消去の税務 ~証拠の論点も踏まえて~㉖

2024/05/15

1)

証拠にもいろいろな種類があります。

・書証(文書)
・人証(証人・当事者)
・検証物
・鑑定人
です。

 税務調査の「時点」で、問題となるのは、書証、人証になります。後段2つは主に係争機関で問題になります。

 税務調査の「時点」での書証のメリットは、作成時点、すなわち過去時点で内容が固定されていることです。内容が固定化されているということは「言った、言わないという問題が生じない」と言い換えることができます。

 さらに、それが過去のある時点になるわけですから記憶の後退とも無縁であり、備忘の手段としても利用されます。

 書証で最も実務で登場するのは契約書です。契約書は非常に強力な証拠となります。これは、契約、すなわち、当事者の合意が書面上でなされていることが明らかだからです。

 したがって、契約当事者が作成した契約であれば、原則として、その内容どおりの効果が生じると理解されます。例えば、契約当事者が署名、押印した契約書は、原則としてそれを「ないこと」にはできないとされます。

 書証のデメリットもあります。証拠として価値が高いために、偽造等がされやすく、また、誤導を生みやすい点です。偽造・内容虚偽の可能性については特に同族特殊関係者間においては当局も念査します。

 偽造・内容虚偽の疑いを生じさせるのは形式、外形の不自然さですぐにわかります。例えば、契約書の作成年月日の記載と、当事者欄の住所の記載が整合しない、であるとか、契約書によって同一人の署名の筆跡や押印してある印章が違うことなどです。形式、外形を整えることは、極めて重要であり、税務当局の文書も、基本的に形式、表記をすべて統一させることを意識します。

 また、仮に誤った表現、不適切な表現で契約文言を残した場合、その状態で固定化されることになります。結果としてそれが事実認定の資料となります。

 取引時の書証の作り方は上記のデメリットを解決させる方法をとるしかありません。

 当然ですが、適切な文言や表現を使うことです。契約書等法律文書は法律に則った言葉である必要があります。

重要情報2

〇(和解金(剰余金の分配と認定した事例))

 和解金の支払が剰余金の分配と認められ資本等取引に該当するとして損金の額に算入できないとした事例
(平23-07-05公表裁決)

〔ポイント〕
 この事例は、訴訟上の和解に基づき請求人が支払った和解金の性格について、訴訟の経緯、対立点及び和解において請求人が当該和解金を支払うに至った経過並びに和解調書の和解条項内容及び請求人の会計処理の事実から認定したものである。

 請求人は、本件和解(訴訟上の和解)は、原告ら(L及びNら)の請求内容(出資持分の払戻請求及び退職金の支払請求)を認めた内容の和解ではなく、多様な意味合いを包含した金額面での和解であり、本件和解金からLの退職金を控除した金員(本件金員)は、経営上当然の経済行為に基づく支払金という性格を意味しており、出資持分があることを根拠として支払ったものではないから、本件金員の額からLの出資額などを控除した額(本件特別損失額)は本件事業年度の損金の額に計上できる旨主張する。

 しかしながら、本件訴訟の経緯、対立点及び和解において請求人が本件和解金を支払うに至った経過並びに和解調書の和解条項内容及び請求人の会計処理の事実についてみると、請求人は、原告らに出資持分の払戻請求権相当の権利を認めるなど、本件和解金を支払うことで請求人と原告らの債権債務関係を消滅させたものと推認されることから、本件金員からNの退職金相当額を差し引いた金員は、出資者たる地位に基づき支払われた金員であるといえ、当該金員から請求人が資本金勘定から減額したLの出資金相当額などを控除した金員は、剰余金の分配に当たると認められるので、法人税法第22条《各事業年度の所得金額の計算》第5項に規定する資本等取引に該当する。

 また、平成8年3月期に請求人がNに対する役員退職金として支出した金員相当額が本件和解金の計算に含められた経緯等から判断すると、当該退職金相当額については、請求人が真に支払を受けた者に代わって仮払金・立替金の類として支払ったものであると考えるのが自然である。

 したがって、本件特別損失額は、法人税法第22条第3項の規定により本件事業年度の損金の額に算入することはできない。

※この内容は『日税ライブラリー研修』で詳しく学ぶことができます。詳しくはこちら
 『日税ライブラリー研修』では、1年間定額で豊富なテーマのセミナー動画を何度でもご覧いただけます。

PAGE TOP