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社長貸付金・社長借入金消去の税務 ~証拠の論点も踏まえて~②

2023/03/16

 「⑴オーナーが会社に対し債権放棄する(会社にとっては債務免除)」について形式上の留意点があります。下記のように念入りにされる場合もあります。どこまで実行するかは金額の重要性で判断すべきです。
 
 贈与認定を避けるため、債権放棄に関して、「債権放棄通知書」「念書」について

・印鑑証明
・確定日付を付す

場合もあります。
なお、金額の重要性によっても変わりますが公正証書までは不要です。

(参考)
第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ

【照会要旨】
 A 社は、得意先であるB 社に対して5 千万円の貸付金を有していますが、B 社は3 年ほど前から債務超過の状態となり、その業績及び資産状況等からみても、今後その貸付金の回収が見込まれない状況にあります。
 そこで、A 社はB 社に対して有する貸付金5 千万円について書面により債務免除を行うことを予定していますが、これを行った場合、A 社のB 社に対する貸付金5 千万円を貸倒れとして損金算入することは認められますか。
 なお、A 社とB 社との間には資本関係や同族関係などの特別な関係はなく、A 社とB 社との取引はいわば第三者間取引といえるものです。

【回答要旨】
 当該貸付金については、貸倒れとして損金の額に算入されます。

(理由)
1 御照会の趣旨は、第三者に対して債務免除を行った場合に、その債務免除額は損金の額に算入できるかということかと思われます。この点、法人の有する金銭債権について、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額は、その明らかにされた日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することとされています(法人税基本通達9-6-1 ⑷)。

 この場合の貸倒損失の計上は、金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合の債務免除の取扱いですので、その債務者が第三者であることをもって無条件に貸倒損失の計上ができるというものではありませんが、第三者に対して債務免除を行う場合には、金銭債権の回収可能性を充分に検討した上で、やむなく債務免除を行うというのが一般的かと思われますので、一般には同通達の取扱いにより貸倒れとして損金の額に算入されます。

 (注) 第三者に対して債務免除を行う場合であっても、同通達に掲げる場合と異なり、金銭債権の弁済を受けることができるにもかかわらず、債務免除を行い、債務者に対して実質的な利益供与を図ったと認められるような場合には、その免除額は税務上貸倒損失には当たらないことになります。

2 A 社の場合、第三者であるB 社は債務超過の状態にあり、B 社に対する貸付金の免除は、今後の回収が見込まれないために行うとのことですから、当該貸付金については上記1 の取扱いにより貸倒れとして損金算入されます。

3 なお、上記1 の取扱いの適用に当たっては、次の点に留意する必要があります。

⑴ 「債務者の債務超過の状態が相当期間継続」しているという場合における「相当期間」とは、債権者が債務者の経営状態をみて回収不能かどうかを判断するために必要な合理的な期間をいいますから、形式的に何年ということではなく、個別の事情に応じその期間は異なることになります。

⑵ 債務者に対する債務免除の事実は書面により明らかにされていれば足ります。この場合、必ずしも公正証書等の公証力のある書面によることを要しませんが、書面の交付の事実を明らかにするためには、債務者から受領書を受け取るか、内容証明郵便等により交付することが望ましい(※下線筆者)と考えられます。

【関係法令通達】
法人税基本通達9-6-1 ⑷

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