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スキルアップ税務

社長貸付金・社長借入金消去の税務 ~証拠の論点も踏まえて~⑮

2023/11/16

Q.形式的貸倒損失のエビデンスについて教えてください。

A.実務上は計上時期の期ズレに係る当局指摘のほうが多いです。そのため、早い段階での形式貸倒れをするか否かの確認が必要となります。本書の性格から期ズレの論点は触れず、当該適正時期に計上した場合、又はこれからする場合のエビデンスについて検証します。

【解説】  継続的取引に係る売掛債権(法基通9-6-3(1))について検証します。

                    稟議書

         (件名)株式会社〇〇に対する金銭債権に係る貸倒処理

1.申請事項
 下記金銭債権の全額から備忘価額1円を控除した金額について貸倒損失を計上し、税務上損金算入したい。
                    記

株式会社○○に対する売掛債権 〇円
(添付資料)※筆者注:添付は多ければ多いほどよいです。代表的なものは下記です。
・納品書(控)
・請求書(控)
・売掛台帳
・株式会社〇〇との売買契約書
・株式会社〇〇に係る与信審査報告書
・催告に係る内容証明郵便(控)

2.経緯(★1)
 (1)株式会社〇〇とは、おおよそ平成〇年〇月ごろより取引を継続していた。
 しかし、同社は実態債務超過となり経営状況が悪化したため、令和〇年〇月〇日を最後に取引を停止した。
・最終弁済期 令和〇年〇月〇日
・最終弁済日 令和〇年〇月〇日
 (2)株式会社○○に対するこれまでの催告の状況は以下のとおりである。
・令和〇年〇月〇日内容証明郵便による催告
・令和〇年〇月〇日同上
・令和〇年〇月〇日同上
・・・
・・・
・・・

 (3)上記(2)のとおり回収に向けた努力を重ねてきた。
 しかし、株式会社○○の支払能力は別紙与信審査報告書のとおりであり、回収の見込みはないことは自明である。
 したがって、備忘価額1円を残して貸倒の処理を行うこととしたい。

(4)上記の経緯、背景により、本件貸倒損失は、法人税基本通達9-6-3(1)の適用を受けることができることは自明である。
 したがって、当社令和○年○月期における損金に計上する。

                                              以上

★1 当該経過を徹底的に細かく記載します。先述のとおり相手の同意を得た上で、会話の内容を逐一録音しても構いません(ただし、録音内容の変更は当然不可能)。録音記録媒体は別途保管しておきます。
 これを見ても分かるように、経緯詳細を記述することは法人税基本通達9-6-2と全く同様です。

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