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税理士が関与先の為に知っておきたい金融知識

暴落はチャンス!関税ショック時に仕込む内需&高配当株

2025/04/25

 こんにちは、金融アナリストの三井智映子です。2025年4月、トランプ大統領による関税政策で株式市場は激しく揺れ動いており、ニュースで株価について知る機会も多かったのではないでしょうか。関税政策の先行き不透明感、不確実性への警戒感が継続しているなかで、関税によって物価上昇、景気停滞が引き起こされる懸念や、貿易摩擦懸念から株式市場は急落を引き起こしました。

 こうした中で投資家が感じるのは、恐怖、不安、そして「今、どうすればいいのか?」という悩みでしょう。しかし、このような急落局面こそ、実は長期投資家にとっての絶好のチャンスでもあります。

 まず前提として押さえておきたいのは、関税ショックは一時的な混乱である可能性があり、企業価値とは乖離しやすいということです。トランプ前政権の2018年7月に知的財産権の侵害などを理由として中国に対して制裁関税を発動しました。 この「米中貿易摩擦」でも当初は関税引き上げや交渉の泥沼化で株式市場は下落しましたが、株価は結局回復をしています。

 今回も同様に関税強化が即座に企業の利益を壊すわけではなく、どこに影響が出るかを冷静に見極めれば、売られすぎている銘柄を見つけるチャンスに。急落は株式市場ではバーゲンセールとも言えます。チャンスの鍵は関税で利益が落ちにくい、関税の業績への影響が限定的である企業を見極めることです。まず狙うべきは内需株。海外比率や輸出入依存度が低く、国内需要が拡大、成長している企業です。例えばドラッグストア、スーパーなど内需主導型の小売業、食品・医薬品などのディフェンシブセクターは、為替や関税の影響を受けにくく、下落時には相対的に割安で放置される傾向があります。国内インフラでシェアの大きい企業(鉄道、通信、電力)なども候補となるでしょう。そのなかでも財務が健全で、安定的に配当を出している企業は、株価急落では利回りも上がるので投資妙味性は増します。利回り3.5〜4.5%以上かつ配当性向が高すぎない企業は、長期保有にも向きます。加えて好業績や成長力のある企業、原材料の輸入コストが上がっても製品価格にコストを反映できる価格転嫁力のある企業(寡占市場やブランド力も重要)に注目してみてください。

 さらに相場が下落しているときには、バリュエーション(企業の割安度)に注目することで、割安になった優良銘柄を拾うことができます。特にPBR(株価純資産倍率)は資産価値に対してどれだけ株価が割安かを見る指標。2023年春から東証がPBR1倍割れ改善要請をするなど東証の取り組みも推進されており、株価がその企業の解散価値である純資産を下回っている状態であるPBR1倍を下回る企業は要注目です。

 例えば業務スーパーを展開する神戸物産(3038)は好業績も追い風で4月に入り年初来高値を更新しています。また私は道産子なのですが、北海道で採卵養鶏場展開、餌の値段の下落や玉子価格高止まりの恩恵が期待できそうなホクリヨウ(1384)(利回り4.53%:4月15日現在)や、北海道のDX関連銘柄で大手交通、航空企業が導入している決済プラスαサービスの高付加価値ソリューションを提供するウェルネット(2428)(利回り3.8%)など地元から内需銘柄を探してみるのも良いのでは。(投資判断は自己責任で行ってください。あくまで例示です。)

 長期投資では基本は積立、分散です。積立では価格が下がったタイミングこそ、より多くの口数が買える「ドルコスト平均法」の効果が高まります。割安なタイミングでコツコツ拾うことで、将来的なリターンを押し上げる可能性が高くなりますよね。また地域、商品があなたのポートフォリオで分散がされているか見直すタイミングと捉えてみてください。例えば投資先を日本や米国に偏っていたら欧州や新興国などを(急落しているので)安く組み入れるチャンスと捉えられますし、金を加えてみたり、債券や不動産などアセットクラスの分散を意識してみるのも良いと思います。株式でもセクターや大型株と中小型株など分散すれば同じアセットクラスであっても分散効果は期待できます。

 急落を悲観的に考えて「もう投資はやめた方がいいのでは」と考えるのではなく、優良企業の株価が下がっている今こそ、「人の行く裏に道あり花の山」の相場格言のように、皆と同じことをしても儲けは少ないので他人がやらないことをやって大きな成果を生む、チャンスのタイミングだと考えてはいかがでしょうか。

アドバイザー/三井 智映子
金融アナリスト、株式会社オフィスはる代表、日本PCサービス株式会社 社外取締役、株式会社イベントス取締役COO、「投資WEB」プロデューサー
【出演・掲載実績】
NHK・フジテレビ・テレビ東京・日本テレビ・BSフジ・テレビ大阪・ラジオNIKKEI・ダイヤモンドZAI・マイナビ・週刊フジ・日経マネー・女性セブン・SPA!・FX攻略.com・ワッグル・CLASSY・SPA!など
【著書】
『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門 』(講談社)
『はじめての株価チャート1年生 上がる・下がるが面白いほどわかる本』 (アスカビジネス)

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