令和5年分相続税申告 各都道府県の申告状況をチェック!
2025/06/03
国税庁が公表した令和5年分の相続税の申告状況によると、令和5年の1年間(令和5年1月~12月)における全国の被相続人数(亡くなった人)は157万6016人で、そのうち相続税の課税対象となった被相続人数は15万5740人。前年分の15万858人より4882人増加した。
令和5年分の相続税の課税割合は9.9%(前年分9.6%)となった(令和5年分は令和6年10月31日までに提出された申告書に基づき作成している)。相続税の申告状況を都道府県別で見てみると、課税割合が最も高かったのは東京都の18.9%で、前年分の18.7%から0.2ポイント上昇した。次いで、愛知県15.5%(前年分15.1%)、神奈川県14.9%(同14.3%)、埼玉県11.5%(同11.2%)、京都府11.0%(同10.9%)、静岡県11.0%(同10.6%)、奈良県11.0%(同10.3%)となっている。47都道府県のうち、相続税の課税割合が10%を超えたのは、1都2府7県だった。
課税対象の被相続人数を都道府県別に見ると、課税割合と同様、東京都が2万5983人(同2万6008人)と最も多い。続いて、神奈川県1万4748人(同1万4127人)、愛知県1万2474人(同1万2292人)、大阪府1万584人(同1万89人)、埼玉県9583人(同9234人)、千葉県7712人(同7417人)、兵庫県6944人(同6696人)、静岡県5284人(同5026人)となっており、この1都1府6県では、課税対象の被相続人が5千人を超えている。
相続税の基礎控除が引き下げられる前の平成26年分の課税対象者は5万6239人。令和5年分は15万5740人と3倍近くに増えており、国税庁では、申告件数が大幅に増加したことを受けて、実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用している。
具体的には、①保有する資料情報等から相続税の無申告が想定される納税者等に対し、書面照会を行うことによる、自発的な期限後申告書の提出を促す取組み、②調査すべき問題点が限られている事案に対し、実地に赴かないで、電話や来署依頼による調査を実施し、より効率的に納税者等に接触する取組み―といったことに積極的に取り組んでいる。
こうした簡易の接触を令和5事務年度は1万8781件(前事務年度1万5004件)に行い、このうち申告漏れなどの非違や回答などがあったのは5079件。申告漏れ課税価格は954億円、追徴税額は加算税含めて122億円となり、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた平成28事務年度以降で最高となった。
遺産分割事件の新受件数20年間で約1.5倍に増加
高齢化により相続の発生件数が増えているが、それだけ相続人同士の争いも増加傾向にある。最高裁判所の令和5年度・司法統計年報(家事事件編)によると、遺産分割事件の新受件数(審判+調停)は、平成14年時点で9148件だったが、令和5年には1万3872件となっており、この20年あまりで1.5倍以上も増えている。
相続財産をめぐる争いというと、資産家の問題と思われがちだが、司法統計年報によると、遺産分割事件で争っている金額の割合として5000万円以下が全体の77.6%を占めており、全体の33.8%は1000万円以下の遺産をめぐって争われている。
このように遺産の多い少ないに関係なく、相続人が複数いれば、どんな家庭でも争いが起きることが分かる。特に、相続財産の中には簡単に分けられないものも多いだけに、相続を『争族』にさせない事前対策をしっかり考えておくことが重要だ。