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相続・事業承継Vital Point of Tax

小規模宅地等の特例で文書回答 再開発でやむを得ず貸付事業を一時中断

2022/01/20

 東京国税局はさきごろ、事前照会のあった「市街地再開発事業により中断した貸付事業を相続開始前3年以内に再開した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について」の文書回答を公表した。

 被相続人甲は、平成25年以前まで、A市所在の建物(区分所有建物である旨の登記がされている建物ではない。以下:従前建物)およびその敷地を所有し、その建物について一部を被相続人甲の次男家族(甲と生計別の親族)に使用貸借により使用させていたほかは、甲の同族会社(以下:乙社)に賃貸していた。

 甲は、平成25年2月、都市再開発法に基づく第一種市街地再開発事業(施行者:A市)に係る権利変換(以下:本件権利変換)により、同事業において建築される施設建築物の一部を取得する権利およびその敷地に関する権利を取得した。

 甲は、平成30年3月30日、本件権利変換により施設建築物の西棟1階の一室(以下:本件店舗)および東棟35階の一室(以下:本件住戸)の所有権(区分所有建物である旨の登記がされている)ならびにそれらの敷地権を取得し、その引渡しを受けたので、同年4月1日に本件店舗を乙社に賃貸(乙社は第三者へ転貸)し、同年12月に本件住戸を第三者に賃貸した。

 なお、甲は、本件住戸について、平成30年3月30日にA市から引渡しを受けた後、速やかに新たな賃借人の募集を行った。

 甲は、令和3年2月に死亡した。事前照会の趣旨は次のとおり。

 相続開始時点において賃貸していた本件店舗および本件住戸の敷地の用に供されていた宅地のうち、本件権利変換前において従前建物に係る乙社に賃貸していた部分に対応する部分は、市街地再開発事業によってやむを得ず貸付事業の用に供することができなかったものであるため、租税特別措置法第69条の4第3項第4号の「相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等」に当たらないことから、同号に規定する貸付事業用宅地等に該当するものとして、同条に規定する小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができると解してよいか照会した。なお、甲の相続人は、同特例に係るほかの要件を満たしている。

 これに対して東京国税局は、「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と回答している。

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