日弁連 民事信託業務に関するガイドラインを公表
2022/12/22
日本弁護士連合会はこのほど、「民事信託業務に関するガイドライン」を公表した。
信託は非常に柔軟な仕組みで、事案に応じて様々なスキームに利用することができるが、その反面、正しい利用方法が実務的に確立しておらず、また、十分に周知されていない状況にある。そこで、同ガイドラインでは、日本弁護士連合会として、民事信託を取り扱うすべての会員に対し、民事信託を正しく利用するための指針を示している。
ガイドラインでは、民事信託業務を行う際の留意点として、「依頼者の意思確認」「民事信託以外の選択肢の検討」「依頼者らに説明すべき事項」「遺留分への配慮」「信託口口座の開設」などについてまとめている。
その中で、「民事信託と税務」を見ると、信託の税務については、「税理士などの知見を活用すべきであるが、弁護士自身も税務に関する基本的な知識を習得しておかなければ、思わぬ過誤を犯しかねない。そのため、弁護士自ら問題点を認識し得る程度に、税務に関する基本的な知識を習得するように研鑽すべきである」ことが示されている。
また、税理士との協働として、「弁護士が日常的に税務関係の業務を扱っている場合を除き、民事信託に関わる税務問題に対処するため、いつでも税理士に相談できるような仕組みを整えておくことが望ましい」としている。
そのほか、「民事信託を活用することにより、基本的に節税はできないことに留意し、依頼者等に誤解があればそれを解消するように努める」ことが明記されている。