マンションに係る財産評価基本通達に関する第2回有識者会議を開催
2023/06/09
国税庁は6月1日、マンションに係る財産評価基本通達に関する第2回有識者会議を開催した。
マンションについては「相続税評価額」と「市場売買価格(時価)」とが大きく乖離しているケースが把握されており、令和5年度与党税制改正大綱において「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」という内容が盛り込まれた。
こうした状況を受け、国税庁は1月30日、マンションに係る財産評価基本通達に関する第1回有識者会議を開催し、今回、第2回を開催した。
会合の資料によると、マンションの相続税評価の方法と乖離の要因について、「建物の評価額は、1棟全体の再建築価格に基づく評価額を専有面積の割合で按分して算定されている。他方、市場価格はそれに加えて建物の総階数、マンション一室の所在階も考慮されているほか、評価額への築年数の反映が不十分だと、評価額が市場価格に比べて低くなるケースがあるのではないか(建物の効用の反映は十分か)」。
さらに、「マンション一室を所有するための敷地利用権は、共有持分で按分した面積に平米単価を乗じて評価されるが、この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、このように敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなるのではないか(立地条件の反映は十分か)」という指摘があった。
そして、事務局から配付資料に基づき説明を行い、次のような意見が出された。
〇 マンション市場価格が急落した場合の対応を行う場合も、マンションだけを特別扱いする理由はなく、他の財産に係る従来からの取扱いと同様の対応を行う旨を明確にしていくべき。また、そうした対応は納税者に分かりやすいFAQ等の形で明示していくべき。
〇 売買実例に基づき統計的手法を用いて評価していく場合には、流通性や価格形成要因等の点で分譲マンションとの類似性が認められるかに着目して、その具体的な適用対象の範囲・類型について定義していくべき。
〇 市場売買価格に基づき評価する場合でも、足元のマンション市場は建築資材価格の高騰等による影響を排除しきれない現状にあり、そうした現状においては、コロナ禍以前の市場売買価格に基づき評価方法を定めることが妥当ではないか。
〇 乖離の要因として考えられる数値を説明変数とした重回帰分析の結果に特段の問題点は認められないことから、この分析結果を用いて補正方法を検討していくべき。 ただし、時価と相続税評価額との乖離の程度はマンション市場の状況により変化するため、今回の評価方法見直し後においても、見直し方法のアップデートをしていく必要があるのではないか。