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令和8年度税制改正要望 国内投資と賃上げを後押し 大胆な設備投資促進税制を創設

2025/10/24

 令和8年度税制改正に向けた議論の行方に注目が集まっている。経済産業省では、2040年度国内投資額200兆円の実現に向け、設備投資や研究開発投資などの国内投資を後押しし、企業による賃上げを徹底させていくとともに、車体課税などの見直しを通じた国内産業基盤の維持・強化を求めている。

 経済産業省の要望をみると、まず、高付加価値型の経済・産業構造への転換を図るには、過去最高水準に上昇した企業の現預金も活用しながら、国内投資と賃上げを進めていくことが不可欠などと指摘。2030年度に135兆円、2040年度に200兆円という新たな官民国内投資目標を達成するためには、引き続き官民一体となって国内投資の拡大と賃上げを継続していく必要があるとして、国内投資の拡大を通じて、日本企業の「稼ぐ力」を向上させ、賃上げを含めた好循環を形成するため、5年間を集中投資期間と位置づけた上で、高付加価値化のための大胆な設備投資を促進する税制の創設を要望した。

 車体課税については、米国追加関税等の国内自動車産業への影響も踏まえつつ、国内市場を活性化するため、環境性能割の廃止等取得時の負担の軽減を求めた。また、自動車の重量およびCO₂排出量削減に資する環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等について、令和8年度税制改正において結論を得ることを求めている。

 中小企業の積極的な研究開発を促進する観点から、増減試験研究費割合に応じた控除率等の上乗せについて、時限措置の3年間の延長を行うとともに、企業の研究開発投資の増加を促すためのインセンティブの強化に向けた見直しを要望。

 さらに、赤字や利益が少ない企業も含めた中小企業における研究開発投資を一層後押しし、収益力の向上を図る観点から、中小企業による研究開発に係る設備投資拡大に向けた所要の措置を創設することを求めた。

 経営者の高齢化の進展などを踏まえ、中小企業の事業承継を後押しし、生産性向上・成長を支援する観点から、法人版(特例措置)および個人版事業承継税制(贈与税・相続税ともに100%を猶予)について、承継計画の提出期限延長を行うことを求めたほか、事業承継による世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念も踏まえ、事業承継の在り方について検討することを要望した。

 企業が従業員に提供する食事については、①従業員が食事価額の50%以上を負担し、②企業が負担した金額が月額3500円以下の場合に、食事に係る所得税を非課税とする制度が存在しているが、1984年以来制度の見直しが行われておらず、長年据え置かれてきた食事支給に係る所得税非課税制度について、足元の物価上昇等を踏まえた非課税限度額の引き上げを要望した。

 このほか、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長等、国内外の事業者間における課税の公平性や競争条件の中立性確保の観点から、国境を越えたEC取引に係る消費税の課税の在り方について検討することなどを求めた。

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