会計検査院 「税の無駄遣い」874億円を指摘 徴収額不足は4億8788万円
2017/11/13
会計検査院は11月8日、平成28年度決算検査報告を内閣に提出した。今回の決算報告では、総件数423件、874億円4130万円の税金の無駄遣いや不適正な会計処理などを指摘。総件数・指摘金額ともに、過去10年で最少となった。
このうち法令違反などの「不当事項」は333件で、指摘金額は137億1821万円。省庁別で見ると、指摘金額のワースト1位は国土交通省の384億円。次いで、農林水産省157億円、厚生労働省80億円となっている。
目立ったミスとしては、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、防衛省において、東日本大震災復興特別会計に納付すべき返納金等を誤って一般会計に納付させており、その合計件数は19件、不当金額は20億2138万円となっている。
一方、財務省については徴収額の不足が指摘されている。36税務署において、納税者54人から租税を徴収するに当たり、納税者の申告ミスの見過ごしや法令等の適用検討の不十分により、不当金額(徴収額の不足)として4億8788万円(前年度2億7647万円)を指摘した。
法人税の徴収不足(4億2872万円)は28事項で、ひとつの事例として、非支配目的株式等に係る配当等の額をその他株式等に係る配当等の額としていたため受取配当等の益金不算入額を過大に計上していたケースが報告されている。
A会社は、27年4月から28年3月までの事業年度分の申告に当たり、その有する他の内国法人の株式をその他株式等に該当するとして、受取配当等の益金不算入の対象となる金額を、配当等の額の100分の50相当額6581万円としていた。
しかし、A会社は当該他の内国法人の発行済株式総数の100分の5以下に相当する数の株式を配当等の額の支払に係る基準日において有していたことから、当該他の内国法人の株式は、非支配目的株式等に該当していた。そのため、受取配当等の益金不算入の対象となる金額は、配当等の額の100分の20相当額2632万円となり、差額3948万円が過大となっているのに見過ごしたため、法人税額918万円が徴収不足となった。