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全国初の暗号資産事案に有罪判決 令和2年度・査察の概要

2021/07/06

 国税庁はこのほど、令和2年度における「査察の概要」を公表した。

 それによると、査察の処理件数は113件で、そのうち83件を告発した。告発した査察事案に係る脱税総額は 69 億円。1件当たりの脱税額は総額分(8000万円)、告発分(8300万円)とも前年度より増加したほか、告発率(73.5%)は平成20年度以来の高水準となった。

 令和2年度の重点事案と位置付けた「消費税不正受還付事案」については9 件を告発。そのほかの重点事案として「無申告ほ脱事案」は13件を告発。「国際事案」の告発件数は過去5年間で最も多い27件だった。

 また、社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対しても積極的に取り組んだ。例えば、生活保護受給者に宿泊施設を提供する貧困ビジネス事案を告発。これは、A社ほか3社のグループ法人が、ホームレスやネットカフェ難民などの生活困窮者に宿泊施設を提供し、受給した生活保護費から家賃収入を得ていたが、現金で回収した家賃収入の一部を除外するなどして法人税を免れていたもの。

 そのほか、北海道ニセコ地区における不動産業者の法人税ほ脱事案を告発。B社は、北海道ニセコ地区において、外国法人等を相手に不動産取引を行っており、借名名義で不動産取引を行い、B社に収入がないよう仮装するほか、虚偽の請求書を作成して架空仕入高を計上する方法により法人税を免れていた事案だ。

 なお、令和2年度中に一審判決が言い渡された件数は87件であり、そのうち86件に有罪判決が出され、実刑判決が6人に出されている。実刑判決のうち最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役2年6月、ほかの犯罪と併合されたものが懲役3年だった。

 全国初となった「暗号資産事案」では、暗号資産取引により得た利益を申告から除外し、所得税を免れていた事案に所得税法違反の罪で、懲役1年(執行猶予3年)および罰金1800 万円の判決が出された。

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