売買契約書とは別に約定書を作成して金銭を受領、申告から除外した事例
2023/01/17
土地の譲渡において売買契約書とは別に約定書を作成することにより受領した金銭を申告から除外した事例がある。
調査対象者Cの土地譲渡所得の申告について、国税当局は部内資料等から、周辺の土地売買に比べてＣの１平方メートル当たりの単価が著しく低いこと、譲受法人は同時期に多額の支払手数料を計上していたことから、当初申告の譲渡価額に疑義が生じたため調査に着手した。
Cの了解を得た上で、現物確認調査を行った結果、本件不動産の譲渡に係る売買代金以外に現金を受領し、貸金庫に預けた旨の記載がある記録帳を把握した。そのため、直ちにＣと取引先銀行へ同行し、貸金庫の現物確認を行ったところ、譲渡不動産の売買契約書のほか、「支払約定書」および現金の存在を突き止めた。
その内容についてＣに説明を求めたところ、税金が高くなることを懸念し、税負担を免れるため、売買契約書とは別に「支払い約定書」を作成し、「支払い約定書」に基づく代金を貸金庫に保管することで、意図的に申告から除外していた事実を認めた。
Cの所得税（１年分）の申告漏れ所得金額は約9600万円、追徴税額（加算税込み）は約1900万円だった（重加算税あり）。
