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富裕層への調査 申告漏れ所得金額・追徴税額ともに過去最高

2020/12/02

 国税庁がこのほど公表した「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、国税当局の主な取り組みが示されている。

 それによると、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に「富裕層」への調査を積極的に取り組んでおり、令和元事務年度は4463件(対前年比84.0%)に実地調査(特別・一般)を実施。申告漏れ所得金額の総額は789億円((同103.4%)、追徴税額は259億円(同127.6%)となり、ともに過去最高となった。

 1件当たりの追徴税額は581万円(同151.7%)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の222万円に比べて2.6倍となっている。特に、海外投資などを行っている「富裕層」の場合、1件当たりの追徴税額は1571万円で、所得税の実地調査全体と比べて7.1倍と高額になっている。

 また、国税庁では、海外取引等を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対し、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、積極的に調査を実施。令和元事務年度における実地調査は3942件(同90.1%)、申告漏れ所得金額の総額は948億円(同111.7%)、追徴税額は247億円(同150.6%)だった。164億円。1件当たりの申告漏れ所得金額は2406万円となり、これは全体の1件当たりの申告漏れ所得金額1190万円の2倍となっている。追徴税額は247億円(同150.6%)。1件当たりの追徴税額は627万円で、全体の1件当たりの追徴税額222万円と比べて2.8倍となっている。

 そのほか、シェアリングエコノミーなどの新しい分野の経済活動をはじめ、インターネット取引を行っている個人に対し、資料情報の収集・分析を行った結果、実地調査を1877件(同88.2%)実施し、申告漏れ所得金額は237億円(同89.8%)だった。1件当たりの追徴税額は349万円(同127.4%)で、全体の追徴税額と比べて1.6倍となっている。なお、追徴税額の総額はこれまでで最も高い65億円だった。

 なお、無申告者に対しては的確かつ厳正に対応しており、令和元事務年度の所得税無申告者に対する調査件数は7328件(同89.9%)、申告漏れ所得金額は1583億円(同95.5%)、1件当たりの追徴税額は237万円(97.9%)だった。

 一方、消費税無申告者に対しては8329件(同86.5%)の実地調査を行い、1件当たりの追徴税額は192万円(同109.1%)で過去最高となった。消費税の実地調査全体の111万円と比べると1.7倍となっている。

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