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戸籍謄本等の返却・コピーの受付を! 総務省が相続時の手続等で勧告

2017/04/20

 総務省はこのほど、相続時に提出する戸籍謄本等が返却されていない手続きについて関係省庁に勧告を行った。

 その背景には、申請者の負担軽減を図ることがある。戸籍謄本等の交付手数料は、一般に住民票の写しの交付手数料よりも高額で、相続の際に必要とされる手続の多くで戸籍謄本等の提出を求めているが、提出された戸籍謄本等を申請者に返却している手続としていない手続がある。このような状況に対し、国民から「戸籍謄本等の提出に代えて、住民票の写しの提出を認めてほしい」、「提出した戸籍謄本等を返却してほしい」といった要望があった。

 そこで、総務省では、戸籍謄本等の提出が必要とされる手続を中心に、申請手続等における提出書類の取扱状況の実態調査を実施。その結果によると、相続時には、不動産の所有権移転登記の申請、遺族補償年金の請求など、多くの手続において戸籍謄本等の提出が求められており、相続税の申告、遺族補償年金の請求、自動車の移転登録の申請など19手続においては、戸籍謄本等の返却またはコピーの受付が行われていなかった。

 その理由としては、①法令等に根拠がない、②手続実務を行う地方公共団体や地方支分部局が戸籍謄本等を返却するかどうかを判断している、③他機関からの照会等に備えて戸籍謄本等を保管する必要がある、④事務的負担の増加を懸念している、⑤戸籍謄本等の返却の要望がない――を挙げている。

 しかし、総務省は調査結果を踏まえ、上記5つの理由に対して次のような見解を示している。①法令改正や通知の発出等により返却することが可能、②一部の地方公共団体等では、届出者の要望に応じて戸籍謄本等を返却している。地方公共団体等では、相続手続完了後に戸籍謄本等を利用することはない。③コピーを保管すれば足りると考えられ、証拠能力についても特段の支障は生じていない、④特段の支障は生じておらず、戸籍謄本等の返却によりその他の業務に影響を与えるような事務的負担の増加も見られない。⑤今回調査した結果、国民からは、相続手続全般に関して提出した戸籍謄本等の返却を求める要望が挙げられており、相続手続全般において申請者にとって利便が高まる措置を行うことは重要であると考えられる。

 したがって、総務省は申請者の負担軽減を図る観点から、①戸籍謄本等を返却することとされていない手続については、法令を改正するなどして、戸籍謄本等の返却又は戸籍謄本等のコピーの受付を行うこと(財務省、厚生労働省)、②戸籍謄本等を返却することとされていない手続のうち、地方公共団体が手続実務を行っている手続については、地方公共団体が戸籍謄本等を返却できるよう、技術的助言を行うこと(厚生労働省)といった措置を講ずるように勧告した。

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