所得税・消費税調査 いずれも1件あたりの追徴税額が高水準
2023/11/28
国税庁はこのほど、令和4事務年度における所得税および消費税調査等の状況を公表した。それによると、所得税の実地調査の件数は、特別調査・一般調査が3万5751人(対前年比148.5%)、着眼調査が1万555件(同143.8%)、簡易な接触の件数は59万1517件(同104.1%)で、これらの調査等の合計件数は63万7823件(同106.3%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は33万8268件(同106.6%)だった。
申告漏れ所得(調査等の対象となったすべての年分の合計)金額の状況を見ると、特別調査・一般調査によるものが5204億円(同134.1%)、着眼調査によるものは390億円(同123.4%)。一方、簡易な接触による申告漏れ所得金額は3448億円(同114.8%)。調査等の合計は9041億円(同125.5%)となっている。
実地調査による追徴税額は、特別調査・一般調査によるものが980億円(同126.1%)、着眼調査によるものは35億円(同134.6%)、簡易な接触による追徴税額は353億円(同139.0%)で、合計1368億円(同129.3%)となっている。
新型コロナウイルスの影響により数年前まで実地調査の件数は低水準だったが、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査した結果、実地調査の件数、非違件数、申告漏れ所得金額の総額および追徴税額の総額はいずれも増加し、1件当たりの申告漏れ所得金額や追徴税額も高水準となった。
一方、消費税(個人事業者)の調査等を見ると、実地調査の件数は、特別調査・一般調査が2万677件(同152.5%)、着眼調査が4836件(同144.4%)、簡易な接触の件数は6万8472件(同100.3%)となり、調査等の合計件数は9万3985件(同110.3%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は6万1055件(同110.4%)だった。
追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む)は、特別調査・一般調査が322億円(同141.2%)、着眼調査は14億円(同107.7%)。消費税についても、実地調査の件数、非違件数、追徴税額の総額は増加し、1件当たりの追徴税額についても高水準となっている。
追徴税額を1件当たりでみると132万円となっており、前事務年度の143万円よりも減少した。簡易な接触による追徴税額は60億円(同84.5%)で、調査等合計で396億円(同126.9%)となった。