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所有者不明物件に対応した自治体は12.7% 国交省の調査研究

2020/03/10

 国土交通省国土交通政策研究所はこのほど、「空き家問題における土地・建物の所有者不明化に関する調査研究」を公表した。調査対象は全市区町村1741団体で、1172団体から回答を得た。

 同調査では、自治体の空き家施策担当部署を対象としたアンケートを実施し、所有者不明空き家への自治体の対応状況の実態を把握するとともに、事例調査として担当者へのヒアリングなどを行い、所有者の探索の際に生じる問題点とそれに対応するための自治体の工夫を収集。さらに、有識者や自治体職員を交えた研究会での検討を踏まえ、同業務の円滑化に資する知見として整理した。

 所有者調査の実績がある995団体のうち、「所有者等の所在の把握が難しい物件」を確認した自治体は71.5%に当たり、所有者調査を実施した多くの自治体で所有者不明物件が確認されている。

 所有者不明物件がある711 団体において、所有者の確認に利用した探索手法をみると、95.1%とほとんどの自治体で「固定資産税課税台帳の確認」が行われている。最も実施頻度の高い手法としても「固定資産税課税台帳の確認」が53.2%と過半を占める。ただ、「不動産登記簿の確認」、「近隣等への聞き取り」、「住民票の確認」、「戸籍謄本の確認」のいずれの探索手法についても、8割近い市区町村で実施されており、「固定資産税課税台帳の確認」のみに頼らず、ほかの手法が併用されていることがうかがえる。

 所有者不明物件がある711 団体において、所有者不明の状況(特定できない情報の内容など)をみると(複数回答)、「所有者の死亡を特定できたが、相続人が判明しない」が最も多く70.3%。次いで「所有者や相続人の居所を特定できたが連絡がつかない等」が62.7%、「そもそもの所有者が不明」が60.3%だった。

 そのほか「所有者の生死が不明」、「所有者の生存を特定できたが居所が不明」、「所有者の死亡を特定でき、相続人も判明したが、その居所が不明」もそれぞれ30~40%程度回答されている。このことから、不明物件においては関係人が複数いる、あるいは特定できない所有者情報が複数あるなど、複雑なケースも存在していることが分かる。

 なお、所有者不明物件がある711 団体のうち、79.5%の自治体で具体的な対応はとられておらず、対応実績があるのはわずか12.7%(90 団体)だった。具体的な対応措置は、「相続財産管理人選任の申立て」が最も多く37.8%で、「行政代執行」が20.0%。とはいえ、こうした措置が取られている例はわずかであり、利用しない理由として、これらの手続きを進めるための条件や財源の確保の必要性についての言及がみられた。

「空き家問題における土地・建物の所有者不明化に関する調査研究」はこちら

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