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日商調査 小規模事業者で準備の遅れ目立つ

2022/09/14

 日本商工会議所は9月8日、「消費税インボイス制度」に関する実態調査結果を公表した。今回の調査は今年5月23日~6月23日に行われたもので、回答事業者数は3771者(回収率87.8%)。

 それによると、インボイス制度導入への準備状況を見ると、インボイス制度導入に向けて特段の準備を行っていない事業者の割合は全体で42.2%となり、昨年の59.9%から減少したものの、「売上高1千万円以下の事業者」では60.5%にのぼり(昨年73.0%)、小規模な事業者ほど準備が進んでいない実態が浮き彫りになった。

 すでにインボイス発行事業者登録申請を行った事業者は10.5%に留まっている。「売上高1千万円以下の事業者」では1.6%となっており、こちらも小規模な事業者ほど申請が進んでいない傾向が見られる。

 インボイス制度導入に向けた課題としては、「制度が複雑でよく分からない」が47.2%、次いで「発行する請求書等の様式変更」(35.5%)、「仕入先がインボイス発行事業者か確認」(26.0%)、「受け取った請求書等のインボイス要件確認」(19.7%)となっている。そのほか、システムの入れ替えや納税負担を懸念する声もあった。

 インボイス制度導入後の対応予定としては、「免税事業者との取引は一切行わない」(8.9%)、「一部を除いて取引は行わない」(5.8%)、「経過措置の間は取引を行う」(13.7%)となっており、課税事業者の28.4%が免税事業者との取引を見直す意向を示しており、そのうち64.8%は「インボイス発行事業者になるよう要請する」と回答している。

 免税事業者が課税転換する際の課題(複数回答)としては、「消費税負担により資金繰りが厳しくなる」が62.0%で最も多く、次いで「消費税分の価格転嫁が難しく、利益が減少する」(44.8%)、請求書の様式変更等の事務負担に対応できない」(33.2%)となっている。

 また、免税事業者の30.8%は「課税事業者になる予定」、20.4%は「要請があれば課税事業者になる予定」を回答する一方、「まだ分からない」は37.4%、「廃業を検討する」という回答も4.2%存在している。

 なお、取引先から課税事業者になるよう「要請を受けたことがある」と回答した免税事業者は8.0%、「受けたことはないが、課税事業者か確認されたことがある」は8.2%だった。

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