東商調査 事業承継後に最も業況を拡大している後継者は「30代」
2018/04/09
東京商工会議所はさきごろ、中小企業を対象にした事業承継の実態に関するアンケート調査の結果をまとめた(調査対象:1万社、回答数:1907件)。
それによると、「既に後継者を決めている」企業は、60代で3割にとどまり、70代を超えても半数近くが後継者を決定していない。一方、「後継者を決めていないが、事業は継続したい」と回答した企業は、60代では約3割、70代では約2割、80代でも1割が事業継続を希望している。
事業を引き継いだ年齢と業況が良くなった割合を見ると、業況が良くなったのは、2代目以降の経営者の年齢が20歳代(46%)、40歳代前半(47%)で目立つ。特に、30歳代は最も多く、全体の57%が「業況が良くなった」と回答している。
事業承継後の新たな取組みを見ても、新商品・サービスの開発に取り組んだのは30歳代が34%で最も高い。こうした結果を踏まえ、東京商工会議所は、「事業承継のタイミングとして、現経営者の年齢で判断するだけでなく、後継者候補が30代の時期に経営の承継を検討すべき」と指摘している。
近年、後継者不在などの影響で親族外承継を選択するケースが増えているが、従業員承継できなかった場合、次に検討することを尋ねたところ、「M&A、事業の売却」(56%)が最も多かった。ただ、M&Aのイメージとして、「良い手段だと思う」との回答が39.3%だったのに対し、「よく分からない」との回答が47%と上回っており、後継者のいない企業にとってM&Aが有効な手段であることの情報提供促進と、イメージアップが必要といえる。
なお、事業承継の相談先については、「顧問税理士・公認会計士」(48.4%)が圧倒的に多く、次いで「親族・友人」(19.2%)という結果となった。
事業承継の実態に関するアンケート調査の結果はこちら。