消費生活協同組合が作成する金銭や有価証券の受取書の印紙税の取扱い
2024/06/17
国税庁はこのほど、「消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の印紙税の取扱いについて」を同庁ホームページに公表した。
印紙税法上、金銭または有価証券の受取書は課税文書となるが、消費生活協同組合が、その「出資者」に対して行う事業に係る金銭または有価証券の受取書は「営業に関しないもの」として非課税文書とされている。
この非課税文書の対象となる「出資者」の範囲については、消費生活協同組合法第 16条の規定に基づき、実際に出資を行った組合員に限ることとし、組合員と同一の世帯に属する者(以下、「家族組合員」という)については、出資行為を行っていないことから「出資者」には含まないものとして取り扱っていた。
今般、「出資者」の範囲について、家族組合員が含まれるかが争われた裁判において、東京高等裁判所は、「消費生活協同組合における『家族組合員』は印紙税法上の『出資者』に該当する」ことを判示した(令和5年 10 月 18 日判決)。
この判決の趣旨を踏まえ、消費生活協同組合が作成する金銭または有価証券の受取書の非課税対象となる「出資者」の範囲について、従来の取扱いを変更することとした。
具体的には、非課税対象となる「出資者」の範囲については、実際に出資行為を行った組合員のほか、定款に特に定めがある場合を除き、家族組合員を含むこととし、これらの者に対して交付する金銭または有価証券の受取書は、「営業に関しないもの」として非課税文書となる。
この変更後の取扱いは、過去に遡って適用されるので、以下の納付区分に応じて、還付請求を行うことができる。
⑴ 書式表示に係る印紙税の納税申告の場合
家族組合員に交付した金銭または有価証券の受取書を申告対象としていた場合は、所轄税務署に「更正請求書」を提出することで還付請求を行うことができる。
請求に当たっては、更正の請求の理由となった事実を証明する書類として、申告対象に家族組合員に対する金銭または有価証券の受取書が含まれていることが分かる書類および定款の写しの提出が必要となる。
なお、「更正請求書」を提出する日において、法定申告期限から5年を経過している
印紙税については、法令上、還付を行うことはできないので注意したい。
⑵ 収入印紙の貼付の場合
家族組合員に交付した金銭または有価証券の受取書に収入印紙を貼付していた場合は、所轄税務署に「印紙税過誤納確認申請書」を提出することで還付請求を行うことができる。
申請に当たっては、金銭または有価証券の受取書の現物(原本)の提示または提出、ならびに家族組合員へ交付されたものであることが確認できる書類および定款の写しの提出が必要となる。
なお、「印紙税過誤納確認申請書」を提出する日において、過誤納となっている文書を作成した日(家族組合員に交付を行った日)から5年を経過している印紙税については、法令上、還付を行うことはできないので注意したい。