消費税の不正還付 追徴税額は前年比4倍の128億円
2017/11/14
国税庁はこのほど、平成28事務年度における法人税・法人消費税等の調査事績を公表した。それによると、大口・悪質な不正計算が想定される法人など9万7千件(対前年比103.5%)に対して実地調査を行ったところ、法人税の非違があったのは7万2千件(同103.7%)、申告漏れ所得金額は8267億円(同99.5%)、追徴税額は1732億円(同108.8%)だった。
法人消費税については、法人税と同時調査等として9万3千件(同103.4%)に実地調査を行い、消費税の非違があったのは5万5千件(同104.8%)、追徴税額は785億円(同139.0%)となっている。
なかでも目立ったのは、消費税を不正に還付申告しているケース。国税庁では、不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられることから、不正還付等を行っていると認められる法人を的確に選定し、厳正な調査を実施している。同事務年度は、消費税還付申告法人6867件(同91.9%)に実地調査を行い、消費税296億円(同194.6%)を追徴課税した。そのうち802件(同105.0%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、前事務年度の4倍以上となる128億円(同426.0%)を追徴課税した。
無申告法人に対する実地調査(法人税2623件、消費税1988件)では、法人税64億円(同138.7%)、消費税50億円(同124.4%)、合わせて114億円(同132.0%)を追徴課税した。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に申告しなかった法人に対し、法人税28億円(同123.5%)、消費税15億円(同194.0%)を追徴課税した。
また、国税庁では、海外の取引先からの売上げを除外するなどの不正計算にも目を光らせており、海外取引等に対する実地調査を1万3585件(同104.1%)実施し、海外取引等に非違があったものを3335件(同99.2%)、申告漏れ所得金額を2366億円(同102.5%)把握している。
なお、不正発見割合の高い10業種(法人税)を見ると、1位は前年と変わらず「バー・クラブ」で、以下2位「外国料理」、3位「大衆酒場、小料理」、4位「廃棄物処理」、5位「自動車修理」、6位「土木工事」、7位「パチンコ」、8位「貨物自動車運送」、9位「職別土木建築工事」、10位「管工事」となっている。