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物価上昇を十分に超える持続的な賃上げの実現へ 6年度税制改正

2024/02/28

 令和6年度税制改正大綱の法人課税関係では、まず、「賃金上昇はコストでなく、投資である成長の原動力」と位置付け、賃上げ促進税制を強化する。

 具体的には、従来の大企業向けの措置について、税額控除率の上乗せ措置(賃上げ4%以上に対して5%、5%以上に対して10%、7%以上に対して15%、プラチナくるみんやプラチナえるぼしの認定を受けている場合に5%など)の見直しを行った上、適用期限を3年延長する。※「くるみん」は女性活躍推進、「えるぼし」は子育てサポートに対する厚生労働省の認定制度。

 また、従来の大企業のうち従業員数が2千人以下を新たに「中堅企業」と位置付け、中堅企業が3%以上の賃上げを行ったとき、その10%の税額控除ができる措置を加える。その際、4%以上の賃上げには15%、教育訓練費の増加割合が10%以上などであるときは5%、プラチナくるみんやえるぼし(3段階目)以上の認定を受けているときは5%を税額控除率に加算する。

 中小企業向けには、教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置について、教育訓練費の増加割合が5%以上などである場合に適用できるように要件が緩和され、くるみんやえるぼし(2段階目)以上の認定を受けた場合は、税額控除率に5%を加算する措置を加える。赤字で賃上げ税制が適用できなかった中小企業については、5年間の繰越控除制度を設けた上、適用期限を3年延長する。

 そのほか、イノベーションボックス税制を創設する。これは、国内で自ら研究開発した知的財産権(特許権、AI関連のプログラムの著作権)から生ずる譲渡所得、ライセンス所得のうち、最大30%の金額について、その事業年度において損金算入できるというものだ。

 さらに、交際費等の損金不算入制度について、交際費から除外される一定の飲食費に係る金額基準を1人当たり5000円以下から1万円以下に引上げ、適用期限を3年延長する。

 中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充では、複数回のM&Aを実施する場合、その株式等の取得価額に90%または100%を乗じた金額以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたとき、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できる措置を加える。

 外形標準課税の適用対象法人の見直しでは、現行基準を維持した上で、当分の間、前事業年度に外形標準課税の対象法人であって、当該事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超えるものは、外形標準課税の対象とする。また、資本金と資本剰余金の合計額が 5 0 億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金が1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものは外形標準課税の対象とする。

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