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経産省 個人事業者の事業承継を円滑化する措置を要望

2018/09/11

 経済産業省はこのほど、平成31年度税制改正要望を公表した。そのなかでも注目したいのが、小規模事業者の事業承継を促進させる要望だ。

 要望書によると、事業承継を考えている個人事業者の約4割が「相続税の負担が不安である」としており、また、純資産が4800万円を超える個人事業者の事業用資産のうち、土地・建物・機械等の割合は約70%を占めている状況を踏まえ、「こうした個人事業者は事業承継に支障を来す可能性がある」と指摘。

 この点について、平成30年度税制改正では、個人事業者の事業承継に係る税制上の措置などを「引続き総合的に検討する」とされていたが、今回の要望では、「地域の雇用・経済に不可欠な中小企業の経営資源が、経営者の高齢化や後継者不在で失われぬよう、個人事業者の事業承継を促すため、事業用資産(土地、建物、機械等)の承継を円滑化するための措置を講ずる」といった具体的な内容が盛り込まれた。

 併せて、中小企業のM&A(親族外承継)を円滑化するための措置も要望している。近年、事業承継案件に対して集中的に投資を行う、いわゆる“事業承継ファンド”の数が増えているが、現行制度においては、事業承継ファンドを通じた大規模法人による出資割合が一定以上となる場合、出資を受けた中小企業は中小企業税制が適用されず、事業承継ファンドから出資を受けた後の円滑な事業活動の継続に支障が生じていた。そこで、一定の要件を満たす事業承継ファンドから出資を受けた場合でも、中小企業向けの税制措置を活用できるように求めた。

 平成30年度税制改正では、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大きく改正され、10年間限定の特例措置が設けられたが、今回の要望が実現すれば、国内の事業承継をさらに後押しする改正となりそうだ。

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