長期的な視点に立って賃上げ促す税制措置を強化
2022/01/17
令和4年度税制改正大綱を見ると、法人課税関係の見直しでは、長期的な視点に立って一人ひとりへの積極的な賃上げを促すとともに、株主だけでなく従業員や取引先などの多様なステークホルダーへの還元を後押しする観点から、賃上げに係る税制措置を抜本的に強化することが盛り込まれた。
具体的には、継続雇用者の給与等支給額および教育訓練費を増加させた企業に対し、給与等支給額の増加額の最大30%を控除する措置を設ける。その際、資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1000人以上の大企業に対しては、マルチステークホルダーに配慮した経営への取組みを宣言することを要件とする。中小企業については、賃上げを高い水準で行うとともに、教育訓練費を増加させた場合に給与等支給額の増加額の最大40%を控除する措置を設ける。
なお、収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資も特に消極的な企業については、租税特別措置の適用を停止する措置を強化する。
そのほか、スタートアップと既存企業の協働によるオープンイノベーションをさらに促進する観点から、オープンイノベーション税制において、出資を受ける会社の対象に、設立10年以上15年未満の売上高に占める研究開発費の割合が10%以上の赤字会社を追加するなどの見直しを行う。