28事務年度の相互協議事案は162件発生 約8割が事前確認
2017/11/29
国税庁では、移転価格課税等による国際的な二重課税について納税者の申立てを受けた場合、租税条約の規定に基づき外国税務当局との相互協議を実施してその解決を図っており、このほど平成28事務年度(平成28年7月~同29年6月)の相互協議の状況を明らかにした。
それによると、発生した相互協議事案は162件(前事務年度195件)。そのうち事前確認に係るものは131件(同151件)で全体の約8割を占めた。移転価格課税やその他(恒久的施設(PE)に関する事案、源泉所得税に関する事案など)に係るものは31件(同44件)だった。
同事務年度における相互協議の処理件数は171件(同155件)で、そのうち事前確認に係るものは143件(同126件)、移転価格課税その他に係るものは28件(同29件)。処理件数を業種別で見ると、製造業 109件(63.7%)、卸売・小売業 47件(27.5%)、その他 15件(8.8%)となっている。なお、平成28事務年度は4年ぶりに処理件数が発生件数を上回り、同年度末の繰越件数は前年度末の465件から9件減少の456件となった。
処理事案1件当たりに要した平均的な期間は29.1カ月(同26.0カ月)。事前確認に係るものは1件当たりの28.9カ月(同25.7カ月)。移転価格課税その他に係るものは1件当たり30.2カ月(同27.2カ月)だった。
平成28事務年度末の繰越事案の相手国・地域の内訳は、アジア・大洋州が最も多く、次いで米州、欧州となっている。国別では米国(25%)、中国(20%)、韓国(9%)、インド(9%)、英国(8%)の順となった。
OECD非加盟国・地域との相互協議事案をみると、平成28事務年度の発生件数は41件、処理件数は28件、同年度末の繰越件数は178件。これは同年度末の相互協議事案の繰越件数(456件)の39%を占めている。