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税務の勘所Vital Point of Tax

熊本国税局 定年延長前の定年時に支給する退職一時金で文書回答

2019/03/07

 熊本国税局はこのほど、「定年を延長した場合に従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う退職一時金の所得区分」についての文書回答を公表した。

 A社は、安定的な雇用確保のため就業規則を改定し、2019年4月1日より従業員の定年を60歳から64歳に延長することを決定。これにともない、賃金規則を改定の上、従業員の入社時期にかかわらず、一律で延長前の定年である満60歳に達した日の属する年度末の翌月末までに退職一時金を支給することを予定している。

 この退職一時金は、引き続き勤務する従業員に対して支給するものであり、本来の退職所得とはいえないが、所得税基本通達30-2(5)《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》に定める給与に該当し、退職所得として取り扱ってよいかどうかを照会した。

 照会者の求める見解となることの理由は次のとおり。

 ①A社は、就業規則を改定して定年を64歳に延長するが、従業員の入社した時期にかかわらず、従業員が、旧定年である満60歳に達した日の属する年度末の翌月末までに本件退職一時金を支給することを予定しており、また、退職一時金を支給した後は、定年を延長した期間に対する退職金の支給はしないので、退職一時金はいわゆる打切支給の退職手当等であると考えられる。

 ②退職一時金は、旧定年である満60歳に達した日の属する年度末までを基礎として計算することとしているため、「旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与」であると考えられる。

 ③定年延長前に入社している従業員は、旧定年のときに退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしており、定年延長にともない退職一時金の支給が64歳になると不都合が生じるため、旧定年のときに本件退職一時金を支給するように希望している。また、賃金規則の改定前および改定後においても、退職一時金の計算の基礎となるのは満60歳に達した日の属する年度末までであり、定年の延長にかかわらず退職一時金の金額は変わらず、退職一時金の支給を64歳に変更することは従業員にとって不利益な変更となる。このような不都合および不利益は、雇用主として配慮する必要があり、定年延長前に入社している従業員に対し、旧定年のときに本件退職一時金を支給することについて「相当な理由」があると考えられる。

 ④A社は、従業員が満60歳に達した日の属する年度末の後において、それまでの給与水準から40%程度減額することを予定しているところ、定年延長後に入社する従業員に対して旧定年のときに退職一時金を支給することについては、従業員のその後の生活資金の補填および人生設計における資産の購入資金に寄与すると考えられることから、「相当な理由」があると考えられる。

これに対し、熊本国税局は次のように回答している。

1.本件退職一時金のうち定年延長後に入社する従業員に対するものについて
 所得税基本通達30-2(5)は、労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合を前提としているところ、本件退職一時金のうち定年延長後に入社する従業員に対するものについては、その支給対象者は、すでに定年の延長が就業規則等で決定した後に雇用されることから、雇用の開始時点で定年を64歳として採用されるため、労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合には該当しません。

 したがって、本件退職一時金のうち定年延長後に入社する従業員に対するものについては、同通達は適用されず、退職所得として取り扱われるとは限りません。

2.その他の照会事項について
 上記1以外の部分については、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおり取り扱って差し支えありません。


 なお、この回答内容は熊本国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではない。

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