サザビーリーグ創業者らの課税処分取り消し
2022/07/21
生活雑貨ブランドを運営するサザビーリーグの創業者が、非上場の種類株式の譲渡価額を巡って低額譲渡かどうかを争った審査請求で、国税不服審判所は今年1月、低額譲渡には当たら
ないとして、巨額の追徴を取消していたことが分かった。
これは、上場していたサザビーリーグの株式を、A投資会社(設立は創業者の親族)が公開買い付け(TOB)する際、創業者により設立された外国法人が買付資金のためA投資会社に出資したことにより取得したA投資会社の「取得条項付きの株式」が焦点となったもの。
外国法人は、TOB後にサザビーリーグを併合したA投資会社にA投資会社の株式を売却した。ただし、外国法人はタックスヘイブン税制の対象の特定外国子会社等となっていたため、創業者はA投資会社が譲渡した株式に係る利益も合算して確定申告を行った。しかし、税務当局は問題の株式の譲渡価額が低すぎるとして純資産価額方式で株価を求めて更正処分等をしたことから争いとなった。
裁決書によると、主な争点は、問題の株式の譲渡対価が時価と比べて低額かどうか。国税不服審判所は、A投資会社の株式は上場されておらず、気配相場もなく、また、売買実例
のある株式または公開途上にある株式でもないと確認。同社株式について「一般的な取扱いからすれば、A投資会社が非上場株式であったとしても、直ちに純資産価額を基礎とすることが合理的であるとはいえない」と指摘した。
そのうえで国税不服審判所は、一般的な取扱いならば、A投資会社の株式は大会社に当たり原則として類似業種比準方式によって評価されるが、「取得条項付の議決権に制約のある株式の時価については、確立された評価方法があるわけではなく、議決権の制約や現金による取得条項が、普通株式の時価との関係で減価要因にもなるという見解もあることを考慮すれば(中略)原処分庁の主張(国税不服審判所の試算額の8倍の価額)を認めることは、明らかに困難なことといわざるを得ない」と判断している。